2017 Fiscal Year Annual Research Report
Studying inflation models and reheating in the PLANCK era
Project/Area Number |
26800121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 和則 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90596652)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インフレーション / 初期宇宙 / 超対称性 / ヒッグス |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)LHCでのヒッグス粒子の発見以降、真空の安定性について活発な議論がなされている。一方で初期宇宙におけるヒッグス場のダイナミクスについては、まだ十分な研究がされているとは言えない。我々はインフレーション後の再加熱の時期においてヒッグス場のゆらぎが急激に成長し、電弱真空の崩壊という深刻な事態を導く可能性があることを、詳細な格子シミュレーションを用いて示した。特に、インフレーションのエネルギースケールが非常に低い場合においてさえ、電弱真空の崩壊を避けるにはヒッグス場とインフラトン場の結合に対して厳しい制限がつけられることを示した。 (2)超重力理論では、インフーレション後にグラビティーノが熱的・非熱的に生成され宇宙論的問題を引き起こす場合があることが知られている(グラビティーノ問題)。我々は再加熱期における非熱的グラビティーノの生成量を再解析し、最近提唱された幾何的インフレーション模型では、従来の見積もりよりも遥かに大量のグラビティーノが生成され、宇宙論的に深刻な問題を引き起こすことを指摘した。 (3)超対称性理論において右巻きスカラーニュートリノがインフラトンの役割を担うシンプルな模型を提案した。この模型では右巻きニュートリノの数が2つ、ニュートリノ湯川結合の値がインフラトンのダイナミクスから制限されるなどの特徴があり、ニュートリノ振動実験によって検証・制限される可能性がある。この模型におけるニュートリノ混合角およびニュートリノCP位相の詳細な解析を行い、CP位相について予言を導くことに成功した。
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