2014 Fiscal Year Research-status Report
チベット空気シャワー観測装置による宇宙線加速と高エネルギーガンマ線放射天体の研究
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26800124
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐古 崇志 東京大学, 宇宙線研究所, 研究員 (00705022)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 宇宙ガンマ線 / 超新星残骸 / 加速機構 / 空気シャワー |
Outline of Annual Research Achievements |
チベット空気シャワー実験では、主に10TeV以上のエネルギーにおいて宇宙ガンマ線に対する感度向上を目指して、水チェレンコフ型地下ミューオン観測装置(Muon Detector, MD)計画を推進中である。 MD 計画に先立って、2007年末から2010年春まで稼働したプロトタイプ MDのデータ解析を行い、シミュレーションが実験データと良く一致していることを確認した。またかに星雲からのガンマ線フラックスに対して100TeV―200TeVで最も厳しい上限値を得た。この結果を論文としてまとめ終わり、近日中に投稿予定である。2013年度にも同様の解析を行っているが、論文としての説得力を高めるため、データを再解析してエネルギーのビン切りを変更し、過去の他の実験による上限値と直接比較できるようにした。また、モンテカルロシミュレーション研究会(2015年3月19日@東京大学柏キャンパス)にて、MD計画のシミュレーションの詳細について報告し、日本物理学会第70回年次大会(2015年3月21-24日@早稲田大学)にて、MDの現状とシミュレーションについて報告した。 MDは約4,000平米で2014年春から稼働を開始し、順調にデータを取得している。現在、かに星雲の観測を想定して、バックグラウンド除去の方法やエネルギースペクトルの導出方法等の最適化を行っている。 また、1997年から2009年までの期間においてチベット空気シャワーアレイを用いて3TeV領域で観測された太陽の影について、COSPAR 2014 (2014年8月2-10日@モスクワ)にて口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検出器のキャリブレーションのために現地に赴く予定であったが、データ解析の段階で過去の結果と照らし合わせてキャリブレーションを行う事にしたため、今年度は現地には行かなかった。 シミュレーションデータの生成、およびバックグラウンド除去の方法やエネルギースペクトルの導出方法等の最適化の研究は順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
取得したMDのデータを用いて、かに星雲のエネルギースペクトラムを導出し、論文としてまとめる。 次に、シグナス領域のTeVガンマ線源(MGRO J2031、MGRO J2019)やMGRO J1908等の、空間的に拡がった天体について、エネルギースペクトラムを導出する。かに星雲のような点源ではないため、解析方法の変更が必要となる可能性がある。さらに、10TeV以上の高エネルギーにおける未知天体の探索も行う。
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Causes of Carryover |
主な理由は、現地にて行うキャリブレーション作業を取りやめたためである。 また、データテープも購入せずに間に合わせることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2014年度分の未使用分は、ケーブル、光電子増倍管やデータ取得用モジュール等の購入に充てる可能性がある。 2015年度分については、申請書に記載したとおりである。
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Research Products
(3 results)