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2016 Fiscal Year Research-status Report

水チェレンコフ検出器を用いた電子ニュートリノ測定の高精度化の研究

Research Project

Project/Area Number 26800128
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

田中 秀和  東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (00402769)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2018-03-31
Keywordsニュートリノ / ニュートリノ振動
Outline of Annual Research Achievements

T2K実験は、大強度陽子加速器J-PARCで生成したニュートリノ・ビームを295km離れたスーパーカミオカンデ(SK)に照射してニュートリノ振動の精密測定を行なう長基線ニュートリノ振動実験である。
本研究はT2Kの後置検出器であるSKにおいて(反)電子型ニュートリノの出現現象測定の高精度化によりニュートリノCP対称性(ニュートリノと反ニュートリノの違い)の測定を世界に先駆けて得ることを目指している。
これまでT2K実験で収集したデータにより、CP対称性の破れに制限を与えることに成功している。T2K実験では、2014年から2016年にかけて反ニュートリノ・ビームを用いてデータ収集しており、特に本年度は、これまでに収集したニュートリノ・ビームと反ニュートリノ・ビームの全データを合わせた統合解析を実施した。これにより、世界で初めてCP対称性が破れていない仮説を90%信頼度で排除することに成功した。また、今回の結果はCP対称性が最大限に破れている可能性を示唆しており、世界中の研究者が注目している。この研究結果をまとめ、論文として発表した。
上述のT2K実験での研究と平行して、CP対称性の破れ測定の高精度化を目指して、SKの更に詳細な検出器較正も進めている。これまでの研究により、SKで用いられている50cm径の大型光検出器は、光電面に入射する光の位置によって時間応答性能が大きく異なる(最大で約2ナノ秒の違いがある)ことを明らかにした。この影響をSKの事象再構成アルゴリズムに考慮にいれることで、事象再構成精度のさらなる高精度化ができる可能性を見いだした。今後、光検出器のさらに詳細な測定を行なう予定である。そのためには測定装置の改良が不可欠であることが明らかになっており、測定装置の改良を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

2016年までにT2K実験で収集したニュートリノと反ニュートリノ・ビームのデータを用いてニュートリノCP対称性の破れ測定に取り組んだ。これによりニュートリノCP対称性に対して世界で最も強い制限を付けることに成功した。この結果は、ニュートリノCP対称性が保存されていることを90%信頼度で排除し、さらにそのCP対称性が最大限に破れている可能性を示唆しており、世界中の研究者の注目を集めている。この研究については順調に進んでいると判断する。
(反)電子型ニュートリノ出現現象の観測およびCP対称性の破れ測定の高精度化を目指して、SKの更に詳細な検出器較正も進めている。これまでの研究により、SKで用いられている大型光検出器には、光電面に入射する光の位置によって、その光検出能力(時間応答、信号増幅率、光検出効率など)が大きく異なることが明らかになった。さらに、この結果をSKの事象再構成アルゴリズムに導入することにより、事象再構成の精度向上の可能性を示すことができた。今後、事象再構成の精度向上のためには、光検出器の光検出能力について、さらに詳細な較正が重要である。そのためには、測定装置のノイズの低減などの装置改良が不可欠であり、現在その研究を進めている。この研究については、当初計画で想定していた以上に詳細な測定および較正が必要であることが明らかになり、そのための装置改良に時間を要している。この研究については遅れが生じていると判断する。

Strategy for Future Research Activity

T2K実験でのビームデータの収集を継続する。それと同時に、解析技術の改良をすることにより、CP対称性の破れに対して更に強い制限を与えることを目指す。具体的には、いままで解析に用いていなかった事象サンプルの解析への導入、ニュートリノと反ニュートリノを識別する方法の改良、SKの有効体積の拡大などの検討を進めている。これらの新しい解析技術の実用化を目指す。
SK大型光検出器の較正および更に詳細な性能測定を進める。これまでの研究により、今までの測定精度をさらに向上するためには測定装置の改良が必要であることが明らかになっており、本年度は装置の改良策を検討してきた。装置の改良の方策は概ね目処が立っており、次年度に改良した装置を用いて測定を実施する。さらに、この結果をSKの事象再構成アルゴリズムに反映させることにより、SKでの事象再構成の更なる精度向上を目指す。

Causes of Carryover

SK大型光検出器の性能測定について、当初計画していた以上の測定精度が必要であることがこれまでの研究によって明らかになった。今までの測定精度をさらに向上するためには測定装置の改良が必要であり、本年度は装置制作を見送り、装置改良のための設計検討を進めた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

測定装置の改良の方策は概ね固まっており、設計も完成しつつある。次年度には装置改良を完成させ測定を実施する。

  • Research Products

    (6 results)

All 2017 2016 Other

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results) Remarks (3 results)

  • [Journal Article] Combined Analysis of Neutrino and Antineutrino Oscillations at T2K2017

    • Author(s)
      K. Abe et al. [T2K Collaboration]
    • Journal Title

      Physical Review Letters

      Volume: 118 Pages: 151801

    • DOI

      10.1103/PhysRevLett.118.151801

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] Hyper-Kamiokande detector design and calibration2016

    • Author(s)
      Hide-Kazu TANAKA
    • Organizer
      International Workshop on Next Generation Nucleon Decay and Neutrino Detectors (NNN16)
    • Place of Presentation
      Institute of High Energy Physics, Beijing, China
    • Year and Date
      2016-11-03 – 2016-11-05
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] スーパーカミオカンデにおける荷電レプトンとメソンへの核子崩壊探索2016

    • Author(s)
      田中秀和、他 Super-Kamiokande collaboration
    • Organizer
      日本物理学会 2016年秋季大会
    • Place of Presentation
      宮崎大学
    • Year and Date
      2016-09-21 – 2016-09-24
  • [Remarks] Super-Kamiokande

    • URL

      http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/index.html

  • [Remarks] Hyper-Kamiokande

    • URL

      http://www.hyperk.org/

  • [Remarks] T2K Experiment

    • URL

      http://t2k-experiment.org

URL: 

Published: 2018-01-16  

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