2017 Fiscal Year Annual Research Report
High-precision measurement of electron-neutrino with a water Cherenkov detector
Project/Area Number |
26800128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 秀和 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (00402769)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ニュートリノ / CP対称性 / 光電子増倍管 |
Outline of Annual Research Achievements |
T2K実験は、大強度陽子加速器J-PARCで生成されたニュートリノ・ビームを295km離れたスーパーカミオカンデ(SK)に照射してニュートリノ振動の精密測定を行なう長基線ニュートリノ振動実験である。 本研究はT2K実験の後置検出器であるSKにおいて(反)電子型ニュートリノの出現現象測定の高精度化によりニュートリノCP対称性(ニュートリノと反ニュートリノの違い)の測定を世界に先駆けて測定することを目指したものである。 これまでT2K実験で収集したニュートリノ・ビームと反ニュートリノ・ビームの全データ合わせた統合解析を実施した。これにより、世界で初めてCP対称性が破れていない仮説を90%以上の信頼度で排除することに成功した。また、この結果はCP対称性が最大限に破れている可能性を示唆しており、世界中の研究者が注目している。 上述のT2K実験での研究と平行して、CP対称性の破れ測定の高精度化を目指して、SKの更に詳細な検出器較正を進めた。本研究では、SKで用いられている50cm径の大型光検出器(光電子増倍管、PMT)の応答を測定するための測定装置を開発し、PMTの光電面の光入射位置に依存した応答の違いを詳細に研究した。これにより、光の入射位置に依存して、増幅率で約40%、光検出効率で約30%、時間応答で約4ナノ秒という大きな違いがあることが明らかになった。この結果をSKの検出器シミュレーションに導入して、(反)電子型ニュートリノの出現現象測定およびCP対称性の破れ測定で重要な、電子の測定精度に与える影響を詳細に研究した。さらに、PMT応答の光入射位置依存性を考慮したSKの事象再構成アルゴリズムの改良を行なった。これにより、例えば電子の発生点(vertex)決定精度で約1cm、電子の運動量再構成精度で6%の改善を実現した。
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Research Products
(9 results)