2014 Fiscal Year Research-status Report
ニュートリノ反応の詳細理解を可能とするシンチレーションファイバー検出器の開発
Project/Area Number |
26800134
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南野 彰宏 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70511674)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ニュートリノ / ニュートリノ反応 / ニュートリノ振動 / T2K / スーパーカミオカンデ / ハイパーカミオカンデ / CP対称性の破れ / 物質優勢宇宙 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニュートリノにおける粒子・反粒子対称性の破れの探索のため、大強度陽子加速器 J-PARC(茨城県東海村)と後置検出器として超大型水チェレンコフ検出器 (ハイパーカミオカンデ) を用いたニュートリノ振動実験の準備を進めている。この実験で最も大きな系統誤差となると考えられているのが、ニュートリノ反応の不定性で、この誤差を小さくおさえることが、実験成功の鍵となる。申請者は、この実験の前置ニュートリノ検出器といて、T2K実験の前置検出器の約7倍の位置分解能をもつシンチレーションファイバー検出器を開発している。この検出器を用いれば、陽子などのニュートリノ反応点周りに短い飛跡しか残さない粒子の検出が可能となり、ニュートリノ反応についての理解が大きく進み、その誤差を大きく低減することが可能となる。本研究の目的は、プロトタイプ検出器を用いて、検出器が目標の性能を持つことを実証することである。 2014年度は、光検出器として64チャンネルアレイ型MPPC(Multi-Pixel Photon Counter)と長さが約1mで 断面が2mm角で長さが約 1mのシンチレーションファイバーをx方向に8本並べたものを8層重ねた64チャンネルのプロトタイプを作成した。データ収集系は、KEK、東北大学、大阪大学が開発したMPPC読み出しのための汎用モジュール(64チャンネル/モジュール)を用いて構築した。このプロトタイプ検出器に、ストロンチウム90線源からのベータ線を打ち込み、(a)MPPCから1m離れた位置でも平均光量が30 p.e./チェンネル以上あること、(b)各チャンネルのヒット検出効率が十分に高いこと、(c)1cm程度の短い飛跡を再構成できることを確認し、2014年度の目標を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度の目標であった、 (1) プロトタイプの製作と宇宙線 μ(もしくはβ 線源)を用いた試験。 (2) 光検出器MPPC読み出しのための汎用モジュールを用いたデータ収集系の構築 を達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度 (a-1) 東北大学電子光理学研究センターで陽電子ビームを照射し、光量やヒット効率をより詳細に試験する。 (a-2) プロトタイプを前置検出器施設のINGRID検出器の前に設置し、T2K実験のニュートリノビームを用いて、ニュートリノ反応のデータ観測を行う。 2016年度 (b-1) プロトタイプをJ-PARC K1.1BRビームラインに持ち込み粒子識別能力の試験を行う。 (b-2) 本研究の結果をまとめ、国際会議や学術雑誌で結果を発表する。
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Causes of Carryover |
2014年度中に購入予定であった光検出器(MPPC)とシンチレーションファイバーを、予定個数を購入しなかった為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
光検出器(MPPC)とシンチレーションファイバーが十分な性能を持つことが確認できたため、2015年度の助成金と合せて、不足分を購入する。
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Research Products
(1 results)