2015 Fiscal Year Annual Research Report
偏極HD標的製造期間最適化のための17T用周波数掃引型NMR測定システムの開発
Project/Area Number |
26800137
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
太田 岳史 大阪大学, 核物理研究センター, 特任研究員 (20727408)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | NMR / 偏極標的 / 高磁場 / 極低温 / 周波数掃引 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では偏極HD標的の17Tesla、14mK中でのK偏極成長曲線をリアルタイムでモニターし到達偏極度までどれほどの早さか、また成長の速度を観察することによって将来的に最適化を図ろうと言うのが目的であった。そのためには17Teslaで動作するNMR偏極測定系を作成し周波数掃引でNMR信号をcyclicに得る必要があった。 これまで偏極HD標的の製造テストの時は、製造開始前に4KでNMR信号を測定、3ヶ月の製造時期を経て最後に成長した偏極度を測定していた。途中の3ヶ月は17Teslaの高磁場の為、また周波数掃引型の対応はできていなかった為NMR測定は不可能であった。17Teslaの測定測定システムを自分たちで組み上げるのに試算では3000万、加えて研究開発の人的リソースが必要であった。 申請者は偏極HD標的のこれまでの開発でポータブルな1Tesla用磁場掃引型のデジタルNMRシステムをすでに開発していた。このシステムを拡張し17Teslaで周波数掃引型のNMR測定システムを開発しようというのが本研究の肝であった。1年目はすでに開発が終わっているデジタルNMRシステムの磁場掃引型から周波数掃引型への移行テストを行った。17TeslaではHD標的のNMR信号を捉えるのに700MHzの信号発生器と、返ってきた700MHzの信号を捕捉可能なADCが必要になる。これまで所有している装置では100MHzが限界だったため1GHz対応の機器類を2年目に購入した。初期の試験テストでは17Teslaでの信号を捉えることはできず、チューニング回路が合っておらず、17Tesla用に調整することは困難なことがわかった。解としてチューニング回路を使用せず、またコイルをシングルコイルからクロスコイルし対応した。S/N比は低下するものの、高偏極の試料であるため結果としては十分な高さのNMR信号を捉えることに成功した。偏極HDのHとDの緩和時間はそれぞれ5時間と8時間であると観測結果が得られた。
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