2014 Fiscal Year Research-status Report
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26800142
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小波 さおり 首都大学東京, 理工学研究科, 研究員 (40725884)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | X線天文学 / 精密分光 / 衛星開発 / 銀河、銀河団 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、現在の装置では測定できない超低密度ガスの観測を実現、確立することである。現在までのX線衛星により、熱平衡に達したガスは理解が進んできたが、中でも密度の極めて低いガスは、輝度の小ささから測定に限界があった。しかし、この超低密度ガスは宇宙の全物質の総量の半分以上を占めており、その直接観測は宇宙の進化を理解する上で非常に重要である。近年、エネルギー分解能の向上により、低密度なガスの電荷交換反応や共鳴散乱線を探れるようになってきた。これらの輝線構造を用いた低密度ガスの新しい探査方法を、ASTRO-H衛星による観測で確立し、さらに大きな集光面積と高エネルギー分解能を有するDIOS衛星で、超低密度ガス観測を実現することを目指している。 以上のことを実現するため、本年度は、2015年度打ち上げのASTRO-H衛星による観測 (主な対象はスターバースト銀河、超新星残骸、惑星大気など)準備を行った。具体的には、マイクロカロリメータSXSのチームメンバーとしての衛星試験参加とサイエンスの検討の両方を行い、電荷交換反応や共鳴散乱線を用いた低密度ガスの解析方法の確立である。 衛星試験は、昨年度以前から続いているSXS単体試験を、住友重機やつくばの宇宙センターで本年度の3月末まで行った。私は検出器であるカロリメータを極低温の50 mKまで冷やす3段式断熱消磁冷凍機 (ADR)をコントロールするADRCコントローラ (ADRC)の日本担当として、積極的に試験に参加し、手順書の作成や試験の実行を行っている。さらに、打ち上げ後、いち早く成果を効率的にあげるため、実際の応答関数等を用いた銀河団の共鳴散乱検出のシミュレーションもおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
来年度が打ち上げ予定となる2015年度となるため、衛星試験を中心に参加した。予定通り試験は進行し、エネルギー分解能は要求値の5 eVを達成している。3月末には衛星担当業者への機器の引き渡しも行われ、これからは衛星筐体を通した全体の試験が始まる予定である。解析も海外の共同研究者とすすめており、論文としてまとめている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はASTRO-H衛星打ち上げの年であるため、打ち上げ前試験や打ち上げ後の初期運用に携わり、一足早いサイエンスの発信を目指す。検出器の面では、SXSチームとしてSXSの応答関数の作成やキャリブレーション解析も行う。サイエンスでは銀河/惑星からの電荷交換反応、銀河団中心部での共鳴散乱線の解析方法を確立する。
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Research Products
(8 results)