2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26800149
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
澤井 秀朋 早稲田大学, 理工学術院, その他 (70514199)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 宇宙物理 / 重力崩壊型超新星 / 磁気流体力学 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は高速回転する親星の2次元軸対称シミュレーションを行った.初期磁場と空間解像度を系統的に変えた複数のモデル計算を実行した.ここで注目したのは、弱磁場・高速回転を伴う親星において磁気回転不安定が爆発にどのような影響を及ぼすかである.また,初期磁場の強さにより,ダイナミクスの振る舞いや磁場の飽和値がどの様に変化するかにも注目した. 研究の結果,磁気回転不安定は爆発に大きな影響を及ぼすことが明らかになった.すべての初期磁場において,磁気回転不安定がよく捉えられる高解像度モデルほど強い爆発が得られた.Sawai & Yamada (2014, ApJ, 784, L10)は,磁気回転不安定による角運動用輸送によってニュートリノ加熱領域が膨張し,ニュートリノ加熱率を上昇させることを示した.今回の研究ではこれに加えて磁気回転不安定による新たな力学的効果を発見した.それは,歪められた磁力線に乗ってコア最深部の低陽子数流体がニュートリノ加熱領域に運ばれ,それによりニュートリノ加熱率が上昇するというものである.磁気回転不安定に起因するこれら2つの効果により,爆発が促進されることが明らかになった.初期磁場の強いモデルでは磁場の飽和値も高くなり,磁気回転によるこれらの効果がより顕著になることが確認された.また,初期磁場が強いモデルでは回転軸に沿ったジェット形成も見られた. また,磁気回転不安定を伴う重力崩壊型超新星中でのrプロセス元素合成のシミュレーションも行った.計算の結果,磁気回転不安定によってコア最深部から放出される低電子比流体でrプロセス元素合成が活発に起こることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、「速回転する親星の2次元軸対称シミュレーション」と「無回転親星の2次元軸対称シミュレーション」を行う予定であった.前者はすでに研究結果をまとめ,The Astrophysical Journalへ投稿中である.後者は2年目に行う予定の「親星の回転速度を系統的に変えた2次元軸対称シミュレーション」へ統合することにしたが,これは現在数値計算を実行中で,順次解析も進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の「親星の回転速度を系統的に変えた2次元軸対称シミュレーション」は2015年8月くらいに計算が終了する予定である.その結果をまとめたものを10月くらいにThe Astorophysical Journalへ投稿する予定でいる. 今年度始める予定の「磁気回転不安定の3次元非軸対称シミュレーション」は計算に必要な数値コードの改変作業を行っているが,これは7月くらいに終了すると見込んでいる.計算は8月に開始し,12月に終了予定である.結果をまとめたものは2016年2月くらいにThe Astrophysical Journal Lettersに投稿する予定でいる. また,「磁気回転不安定を伴う重力崩壊型超新星中でのrプロセス元素合成のシミュレーション」をより現実的なモデルで行うことを計画している.これはすでに計算を開始しており,8月くらいに終了することが見込まれる.年内に論文投稿する予定でいる.
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Causes of Carryover |
昨年度は参加予定であった1件の国際会議の日程に自身の予定が合わず,参加を見送ったため,計上していた旅費が未使用となった.また,投稿した論文が昨年度中に受理されず,見込んでいた論文投稿費用が未使用となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は,昨年度行けなかった分を加えて,計2件の国際会議に参加し,研究成果を発表していく予定である.このうち1件の旅費は昨年度の未使用額で賄う.また,昨年度投稿した論文が受理された際には,昨年度の未使用額で投稿費用を賄う.
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