2017 Fiscal Year Annual Research Report
Constraining the spin of Sgr A* via the motion of the S-stars
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26800150
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Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
孝森 洋介 和歌山工業高等専門学校, 総合教育科, 准教授 (30613153)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 天の川銀河 / 超大質量ブラックホール / S2 / 暗い質量 |
Outline of Annual Research Achievements |
銀河系中心にある超大質量ブラックホールのスピンの向きと大きさを明らかにすることが本研究の目的である。観測により,銀河系中心ブラックホールのまわりには,多くの星(S星とよばれる)が周回運動をしていることが明らかになっている。その観測結果と理論モデルとを比較することでブラックホールの性質(質量やスピン)を知ることができる。本研究では,まず,観測との比較を行うために,S星の運動とS星から出る光の軌道を求めるために特化した数値プログラムの開発をすすめた。昨年度までの研究でプログラムは完成した。一方,本研究を進めていく中で,超大質量ブラックホールのまわりにあるまだ見えてない星やダークマターといった暗い質量がS星の運動におよぼす影響が無視できないことも明らかになってきた。銀河系中心ブラックホールの性質を正しく知るためには,暗い質量がS星の運動におよぼす影響を理解しておく必要がある。2018年には,S2とよばれるS星の1つがブラックホールに最接近するイベントが控えている。今年度は,S2のブラックホールへの最接近というイベントに向けて,S2の運動に暗い質量が与える影響について研究をすすめた。現在許容されているS2の軌道内に存在する暗い質量の総量はブラックホール質量の1%程度である。1%程度暗い質量が分布しているとし,その分布をモデル化し,S2の運動に与える影響の解析を行ったところ,S2が銀河系中心ブラックホールへ最接近するとき,S2の視線速度に大きな影響(暗い質量があるときとないときで1000km/sの差)が出ることが明らかになった。この差は2018年のS2の観測で十分測られる。もし,暗い質量への影響が見えなければ,ブラックホールのまわりにある暗い質量にさらに強い制限をつけられることが期待される。
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[Journal Article] Radial Velocity Measurements of an Orbiting Star Around Sgr A*2018
Author(s)
Shogo Nishiyama, Hiromi Saida, Yohsuke Takamori, Masaaki Takahashi, Rainer Schoedel, Francisco Najarro, Satoshi Hamano, Masashi Omiya, Motohide Tamura, Mizuki Takahashi, Haruka Gorin, Schun Nagatomo, Tetsuya Nagata
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Journal Title
Publications of the Astronomical Society of Japan
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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