2015 Fiscal Year Research-status Report
ゲルマニウム検出器用高速デジタル波形処理システムの開発
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26800152
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
細見 健二 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究員 (40710380)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 波形読み出し / ゲルマニウム半導体検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ゲルマニウム(Ge)半導体検出器の新しい信号読み出し方式として、高速デジタル波形処理技術の開発を目的としている。その主な応用先は、J-PARCハドロン実験施設にて行われる大強度中間子ビームを利用したハイパー核のガンマ線分光実験を想定している。 本年度は、Ge検出器のエネルギー校正システムの開発を中心に行った。Lu2SiO5(LSO)シンチレータを用いたLSOパルサーを開発した。LSOパルサーは、LSOシンチレータに含まれる176Luのベータ崩壊を検出することで、その娘核から放出される200 keVと300 keVのガンマ線に効率良くゲートをかけてデータ取得することを可能とする。LSOシンチレータからのベータ線信号の読み出しには、光電子増倍管を使用する予定であったが、実験環境に存在する高磁場への対応から、磁場中でも動作可能なMulti-Pixel Photon Counter(MPPC)を採用した。実験室においてLSOパルサーとGe検出器を組み合わせてテストデータを取得し、校正用データの統計量とそのデータから得られる校正曲線の精度を調べた。176Luのガンマ線ピーク数が300カウント以上あれば350 keV領域において約50 eVの精度でエネルギー校正が可能であることが分かり、これは特にエネルギー精度が重要となるX線分光実験への応用が期待される。 2016年4月にJ-PARCハドロン実験施設にて4ΛHeハイパー核のガンマ線分光実験を行った。この実験においてはLSOパルサー(光電子増倍管を用いた初期タイプ)の性能評価を行い、光電子増倍管への高磁場からの影響が確認されたものの、LSOパルサーとしての動作原理に問題がないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に従い、Ge検出器のエネルギー校正システムであるLSOパルサーの開発は完了した。しかし、Ge検出器の初段増幅部であるFET素子が故障するというトラブルが起き、検出器と組み合わせた試験を行うことができなくなり、波形読み出し回路の開発を進めることが困難になった。予算の都合からGe検出器の修理は自分たちで行うことに決めたが、故障したFET部分が高真空内部に封じ込められていることと、非常に古い回路であり対処できる技術者が限られていることもあり、修理完了までに長くの時間を要した。修理は成功し、またその副産物としてGe検出器の増幅率を自分たちで変更する技術も得たため、今後の開発に役立てることが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
修理の完了したGe検出器を用いて波形読み出しの開発を行う。Ge検出器の増幅率を自分たちで調整することが可能となったため、100mV(出力電圧)/ MeV(入射ガンマ線エネルギー)を目安に調整を行い、波形読み出し回路側とGe検出器プリアンプ側のマッチングを行う。その結果をもとに、回路設計を行い、波形読み出し回路基板を作成する。2016年6月よりJ-PARCハドロン実験施設においてダブルラムダハイパー核の探索実験が計画されている。この実験ではグザイ原子のX線分光用にGe検出器を使用するため、本実験と並行して、波形読み出しアルゴリズム開発の参考データとして、実際の実験環境におけるGe検出器の波形データを取得する予定である。また、昨年度に開発したLSOパルサー(MPPCを読み出しに用いたタイプ)をこの実験で使用し、性能評価を行う。
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Causes of Carryover |
開発に使用していたGe検出器の初段増幅部であるFET素子が故障し、検出器と組み合わせた試験ができなくなったため、波形読み出し回路の開発を進めることができなくなった。それによって、波形読み出し回路基板の製作に当てていた予算を執行することができなかったため生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
故障したGe検出器の修理はH27年度内に完了したため、H28年度は波形読み出し回路の基板製作を行う。翌年度分とした助成金はH28年度請求額と合わせて、H28年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Precise determination of 12-Lambda-C level structure by γ-ray spectroscopy2015
Author(s)
Kenji Hosomi, Yue Ma, Shuhei Ajimura, Kanae Aoki, Seishi Dairaku, Yuanyong Fu, Hiroyuki Fujioka, Kenta Futatsukawa, Wataru Imoto, Yutaka Kakiguchi, Masaharu Kawai, Sari Kinoshita, Takeshi Koike, Nayuta Maruyama, Masahiro Mimori, Shizu Minami, Yusuke Miura, Koji Miwa, Yohei Miyagi, Tomofumi Nagae, et al.
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Journal Title
Progress of Theoretical and Experimental Phyiscs
Volume: 081D01
Pages: 1-8
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Observation of Spin-Dependent Charge Symmetry Breaking in ΛN Interaction: Gamma-ray Spectroscopy of 4-Lambda-He2015
Author(s)
T. O. Yamamoto, M. Agnello, Y. Akazawa, N. Amano, K. Aoki, E. Botta, N. Chiga, H. Ekawa, P. Evtoukhovitch, A. Feliciello, M. Fujita, T. Gogami, S. Hasegawa, S. H. Hayakawa, T. Hayakawa, R. Honda, K. Hosomi, S. H. Hwang, N. Ichige, Y. Ichikawa, et al.
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Journal Title
Physical Review Letters
Volume: 115
Pages: 222501
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Hypernuclear gamma spectroscopy2016
Author(s)
Kenji Hosomi
Organizer
The 31st Reimei Workshop on Hadron Physics in Extreme Conditions at J-PARC
Place of Presentation
Advanced Science Reseach Center (ASRC), JAEA Tokai Campus (Naka-gun, Ibaraki)
Year and Date
2016-01-18 – 2016-01-20
Int'l Joint Research / Invited
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