2014 Fiscal Year Research-status Report
Belle II実験におけるビームバックグラウンド計測システムの開発
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26800155
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
中村 克朗 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (60714425)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ダイヤモンド検出器 / ビームバックグラウンド計測器 |
Outline of Annual Research Achievements |
高輝度電子陽電子ビーム衝突を用いたBelle II実験に適切なビームバックグラウンド計測器として最も有力な候補がダイヤモンド検出器である。そこで研究の第一歩として、素材となるダイヤモンド結晶板の選定を行った。Belle II実験のビームバックグラウンドとしてはハドロンに比べてガンマ線からに寄与が大きくなる。そのため、これまでの高エネルギー実験で使われている多結晶ダイヤモンドではなく、信号収集率の高い単結晶ダイヤモンドを第一候補とした。製法は近年低コスト化がすすんでいる化学気相成長法とした。製造会社は、日本を始め各国の企業を調べ、最も高い純度(窒素5ppb以下,ボロン1ppb以下)の製品を作れるElement6社とした。 次に、結晶板への極板成膜についての研究を行った。ダイヤモンド等の誘電体と金属との接合の場合、注意しなければならないのがショットキー効果である。これは信号の収集率低下の大きな原因となる。これを防ぎオーム接合を実現するため成膜金属と膜厚の選定を行った。結晶構造や極板さらに検出器への梱包方法による性能の違いを研究するため、数種類の試作機を製作し性能を測定した。結果として、まず単結晶では多結晶に比べて約3倍もの信号収集率があることが明らかとなった。次に極板に関しては、単一のAl膜とAu/Pt/Ti(250/120/100nm)膜での比較を行った。現状では両方の極板とも信号収集率及び長期的安定性とともに問題無い結果を得ている。また梱包としては小型かつ放電に強いデザインを選定できた。 さらにダイヤモンド検出器の読み出しシステムの開発も行った。Front-endとして、まずはテストベンチでの試験用にAH501(Elettra)を用いた。しかしながら磁場環境に置かれ様々な遠隔制御が必要となるため、Elettraと協力してこれを元に読み出し回路開発を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、ダイヤモンド検出器の開発はコストの面で大きな課題があった。しかしながらイタリア・Trieste大学と共同研究を行うことで現在では順調にその開発が行えるようになった。 平成26年度の研究目標は高純度かつ高結晶性のダイヤモンドを用いた検出器をいくらか試作を行い、品質に対する性能の依存性を研究することであった。現状では、複数の試作機の製作と品質に対する評価はひと通り完了し、さらに極板や梱包に対する評価まで行っている。加えて、簡易的ではあるが、テストベンチにおける読み出しシステムの構築ができている。本研究の重要な課題は実機を用いてビーム試験を行い、荷電粒子・中性子に対する応答を研究することである。これらの進捗から、次年度に計画しているこのビーム試験に対して想定以上の準備が整っていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では開発した試作機と実機を用いてビーム試験を行い、荷電粒子・中性子に対する応答を研究する。このデータをFLUKAを用いたシミュレーションと比較し結果の理解を深める。これらの研究結果を踏まえて、平成28年初頭に計画しているBelle II実験用ビーム試験で用いる仕様を検討・決定する。 決定した仕様に基づいて検出器の生産を行い、Belle II実験用ビーム試験に導入する。まずは4個程度の生産・導入を想定している。設置箇所に関してはビームバックグラウンドのシミュレーションなどを考慮して検討する。 Belle II実験に向けて読み出し回路開発を進めて、実機に対して実用可能なものを完成させ性能評価を行う。
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Causes of Carryover |
該当年度では、試作機製作のためにダイヤモンド基板上への極板成膜費用を研究費から支払う計画であった。そこで、この成膜費用分の前倒し請求も行った。しかしながらその後に研究費の使用計画を変更し、試作機の成膜はイタリア・Trieste大学に行っていだだき、余った研究費を次年度でのBelle II実験用ダイヤモンド検出器の製作費用に充てることにした。これにより、成膜費用の支出が無くなったことで、次年度繰越の使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由にあるように、この研究費は次年度の実験用検出器の製作に充てる目的に変更したものであるので、そのように使用する。具体的には、実験用検出器のためのダイヤモンド基板の購入、極板の成膜、検出器梱包・ケーブルの実装に充てる。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] Belle II SVD detector2014
Author(s)
Lorentzo Vitale, on the behalf of Belle II SVD group
Organizer
VERTEX2014: The 23rd International Workshop on Vertex Detectors
Place of Presentation
Macha Lake, The Czech Republic
Year and Date
2014-09-15 – 2014-09-19