2014 Fiscal Year Research-status Report
高輝度ハドロン加速器実験に用いる初段飛跡トリガーの開発
Project/Area Number |
26800156
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
中村 浩二 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (00554479)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 半導体飛跡検出器 / トリガー / LHC / ATLAS / ハドロン衝突型加速器 / FCC / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高輝度ハドロン衝突型加速器実験における初段トラックトリガーの開発を目的としている。1-2年目のの目標は、現存する後段トラックトリガー(FTK)システムのシミュレーションプログラムの改良および評価ボードを用いたFPGAプログラムの開発環境整備であった。現状はこの目標を十分達成しているといえる。具体的な成果としては、ATLAS実験アップグレード計画の一環として行った以下の二点である。1)初段トリガーシステムのシミュレーションの開発。2)ピクセル検出器の読み出しエレクトロニクスの開発とFPGA評価ボードを用いた模擬トリガーシステムの実装。1)に関して、ATLAS実験で用いられているシミュレーションにアップグレード後のピクセル検出器およびストリップ検出器のジオメトリを構築し、シミュレーションを行った。予想されていたことではあるが、6マイクロ秒以内のトリガー信号の発行は厳しく、パターンマッチング法の最適化を行っている。2)に関して、読み出しエレクトロニクスには、高エネ研測定器開発室で開発されたSEABASと呼ばれるボードでの読み出し開発を始めている。ボード上に実装されているFPGAのファームウェアの開発を中心に行っていたが、現在は評価ボードからの信号を模擬トリガー信号として用いたトリガーシステムの開発を進めている。また、もう一つの研究目標であるASICの開発に関しては、現在の所マスク作成のための基礎的なソフトウェアの習得を行っている。が、今後同様の研究をFPGA評価ボードで行うことができるため、当面開発は評価ボードを用いて行う予定である。 研究成果の発表および国際会議での情報収集も順調に進展している。ATLAS実験内部会合での報告はもちろん国際会議PIXEL2014での報告、さらに将来の円形加速器計画(FCC)の年次会合において多くの情報収集を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績にも書いたが、一年目、二年目に予定していた研究計画がほぼ順調に進展している。その理由の一つは、本研究の中間目標に相当する研究を一部国内外の研究者と共有できたことがあげられる。特に、初段トリガーのシミュレーション、読み出しエレクトロニクスの開発はこの研究協力により予定より早く進展することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策に関して、申請書に記載した通り引き続きトリガーファームウェアの開発を行う予定である。現在までに作成・購入した読み出し用プリント基板付の ASIC、FPGA を用いた読み出し用エレクトロニクス、トリガー模擬用の評価ボードを用いて初段トラックトリガーの要求されるレートの処理を達成できるよう開発、最適化を行う。また、今年度は6月、9月にCERN研究所においてビーム試験を計画している。さらに、7月には東北大学CYRICに置いて陽子線照射試験を計画している。これらの試験は現行のATLASアップグレード用ピクセル検出器開発を行っている研究との共同研究で行う予定である。またビーム試験の際に用いる高速読み出しエレクトロニクスのハードウェアの購入、ファームウェア・ソフトウェアの開発も必要である。
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Research Products
(2 results)