2014 Fiscal Year Research-status Report
ディラック電子系における磁性不純物および磁気的性質の理論的研究
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26800171
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| Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
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Principal Investigator |
白川 知功 独立行政法人理化学研究所, 柚木計算物性物理研究室, 基礎科学特別研究員 (40571237)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | ディラック電子系 / 磁性不純物 / 密度行列繰り込み群法 / 電子相関 / 近藤効果 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、不純物模型を解くための計算手法として、ブロックランチョス法を用いた密度行列繰り込み群法ソルバー（Impurity-DMRG）を開発し、これをグラフェンやd波超伝導体、トポロジカル絶縁体表面などで実現するディラック電子系に対する磁性不純物効果を調べる事を研究目的とした。また、Impurity-DMRGは磁性不純物周りの電子状態を調べる事にも有用である。そこで、この点を活かし、上記の磁性不純物問題における実空間描像を明らかにする事を目標とした。
特に、本年度はグラフェンにおける磁性不純物問題として、(a) グラフェンに吸着型磁性不純物のついた場合、(b) グラフェンに置換型磁性不純物のある場合、および (c) グラフェンに格子欠陥のある場合について、それぞれの有効模型にImpurity-DMRG法を適用し、各模型で実現する基底状態について調べた。特に、不純物上の動的帯磁率と局所状態密度を精密に計算する事で、(b) と (c) の模型では不純物の磁気モーメントが周りの伝導電子に遮蔽されるのに対し、(a) では遮蔽が起きず、スピン1/2 の自由モーメントが残る事を明らかにした。これは、近年Nairらによって行われたフッ素吸着グラフェンにおける磁化測定の結果と無矛盾な結果である。さらに、波動関数の実空間的振る舞いを調べるために、これら３つの模型について、磁性不純物と伝導電子間のスピン相関の距離依存性を調べた。その結果、(a) の模型では距離の３乗で減衰する事、および、(b) と (c) の模型では、距離の４乗で減衰する事を示した。実空間の複雑な状況を考慮した上で、スピン相関の長距離における漸近系を調べるためには高精度な計算手法が必要であり、Impurity-DMRG法を用いて初めて達成できた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画通り、Impurity-DMRG法を開発し、これをグラフェンにおける磁性不純物問題に適用し、その電子状態を明らかにする事を目標に掲げ、これを達成できたため。
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| Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、今年度の知見を活かし、グラフェン以外のディラック電子系やこれに関連する系における磁性の発現、および磁性不純物問題に適用する。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究を遂行する上で最低限必要なスペック（大規模共有メモリ型計算機、メモリ514GB以上）の計算機サーバの部品の価格が予算申請時から変わったので、購入を見送ったためである。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成２７年度の研究費は、平成２６年度請求額500,000円と平成２５年度の繰越額2,228,350円の合計2,728,350円である。そこで平成２７年度の使用計画は以下の通りとする。
物品費2,100,000円：大容量共有メモリ計算機サーバ１台
旅費628,350円：国内旅費年１回、国外旅費年１回
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