2015 Fiscal Year Research-status Report
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26800177
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
多田 靖啓 東京大学, 物性研究所, 助教 (20609937)
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2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 磁性 / 超伝導 / 電子相関 / 超格子 / 表面流 / トポロジカル / スピン軌道相互作用 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、（１）超格子におけるスピン揺らぎと超伝導、（２）端をもつ系における表面流、（３）局所空間反転対称性のない系の磁性や超伝導について研究を行った。これらの系は、一見異なる系に見えるが、いずれも実空間の構造が本質的に重要であるという共通点がある。とくに、（１）と（２）は用いた理論的取扱いにも共通点があり、また、（３）は（１）のような超格子を含む系や強磁性超伝導体として活発に研究されているUCoGeなどを念頭においたものである。
（１）に関しては、前年までの研究をまとめて論文として出版した。ｆ電子系超格子に特有の現象として、純粋な3次元系よりも超格子系の方が超伝導転移温度が高くなりうることを理論的に示した。これまでの電子相関の弱い超格子では、超伝導転移温度が3次元物質よりも低いことが知られており、この結果は電子相関によってはじめてもたらされたものである。さらに現在、ｆ電子系超格子における磁性について、これまでの研究を論文にまとめているところである。また、現在、超格子に使われている物質であるCeCoIn5の超伝導に対する乱れの効果について解析を進めている。
（２）に関しては、前年までの研究をまとめて論文として出版するとともに、関連する内容に関して、数学的に厳密な解析を行った。一般に端をもつような系の理論的解析は難しいため、基本的な事柄を厳密な形で把握しておくことは、今後の研究の基礎になると考えられる。また、数値的な研究も合わせて行い、これまでなされてきた近似的計算の妥当性について検討を行っているところである。
（３）に関しては、とくに上記の強磁性超伝導体UCoGeを念頭において、現在研究中である。また、これまでの研究をまとめた論文を準備中である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の進捗状況はやや遅れている。これに関しては、主な理由として、計算の技術的困難と計算結果の物理的解釈の難しさがあげられる。例えば、実験と比較しうる現実的な状況を計算しようとすると、あまりに計算時間がかかる一方、モデルを簡単化して計算コストを下げようとすると、現実の物質との対応が不明瞭になり、結果の妥当性の判断が難しくなるということがあった。ほかにも、「研究実績の概要」に挙げた、表面流の研究に関しては、問題設定が難しすぎて実りある結果が得られない試行錯誤に非常に時間を費やした。
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度は本課題の最終年度であるため、これまでの研究の仕上げをしたいと考えている。具体的方針としては、現在目下取り組んでいる強磁性超伝導体を念頭においた計算を完了させ、ついで、同時並行的に行ってきたその他の研究についても、そのまとめをしたいと考えている。とくに、研究の発展における各段階の区切りがついた時点で論文にまとめていくことを心掛けたい。また、本年度は海外出張の期間が長くなる予定なので、この機会を上手に活用し、海外研究者との議論や共同研究などを活発に行っていきたいと考えている。
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| Causes of Carryover |
平成27年度は、ほかの科学研究費から経費が支払われる海外出張期間が長かったため、本研究課題の研究費をあまり使用しなかった。また、例年参加している、渡航費用がかかるような国外で行われる国際会議にも参加しなかったため、次年度使用額が生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度も海外出張期間が長くなる予定である。しかし、研究のスムーズな遂行のためにいくつかのパソコン関連機器を購入予定である。また、本年度は、国内・国際学会にも参加予定であり、これらのための渡航費や参加費として研究費を使用する計画である。
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Research Products
(5 results)
