2015 Fiscal Year Annual Research Report
幾何学的にフラストレートした量子磁性体の高圧力下磁化測定による量子相転移の探索
Project/Area Number |
26800181
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
栗田 伸之 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80566737)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子相転移 / 量子磁性体 / 幾何学的フラストレーション / 磁化測定 / 高圧力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、圧力を外部パラメータとした基底状態の系統的制御により幾何学的フラストレートを有する量子磁性体における圧力誘起量子相転移を発見することである。研究計画時に対象物質としていた一連のs=1/2籠目格子反強磁性体については、純良単結晶育成方法に関する進展はあったが、到達最高圧力1.5 GPaまでに基底状態の有意義な変化は見られず圧力誘起量子相転移の発見には至らなかった。そこで対象物質を擬スピン1の基底一重項磁性体CsFeCl3に変更し、常圧における磁場誘量子相転移の研究、及び圧力誘起量子相転移の探索を行ってきた。 最終年度である本年度は、CsFeCl3の常圧における極低温比熱測定、及び前年度より詳細な圧力下磁化測定を行った。常圧に関しては、比熱及び磁化測定から最低温度0.5 Kまでの磁場-温度相図を決定した。得られた磁場誘起秩序相の相境界に対して冪乗則を用いた解析を行った。その結果、解析温度領域を低温側へ狭めていくに従い、臨界指数が1.5に近づくことが分かった。これはCsFeCl3の磁場誘起量子相転移がマグノンの三次元的なボースアインシュタイン凝縮として理解できることを示している。CsFeCl3に静水圧力を加えると、励起ギャップに対応する磁化過程の異常が低磁場領域にシフトし、臨界圧力Pc~0.9 GPa付近でゼロとなることが明らかになった。Pc以上の圧力下では、磁化率の温度変化に磁気転移に伴うカスプ型の異常が出現した。この異常は低磁場(100 Oe)においても確認できた。以上から、Pcで非磁性基底状態から磁気秩序状態への圧力誘起量子相転移が起きていると考えられる。これらの結果をまとめた論文の草稿は既に仕上がっており、学術論文投稿へ向け最終的な校正を行っている。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Spinon, soliton and breather in the spin-1/2 antiferromagnetic chain KCuGaF62015
Author(s)
I. Umegaki, H. Tanaka, N. Kurita, T. Ono, M. Laver, C. Niedermayer, C. Rüegg, S. Ohira-Kawamura, K. Nakajima, K. Kakurai
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Journal Title
Physical Review B
Volume: 92
Pages: 174412(1-8)
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Bose-Einstein condensation vs. crystallization of magnons in dimer magnets Ba2MSi2O6Cl2( M=Co, Cu)2015
Author(s)
M. Okada, N. Kurita, H. Tanaka, K. Johmoto, K. Fujii, H. Uekusa, A. Matsuo, K. Kindo, M. Tokunaga, H. Nojiri, M. Nakamura, and S. Nishimoto
Organizer
20th International Conference on Magnetism
Place of Presentation
Barcelona, Spain
Year and Date
2015-07-05 – 2015-07-10
Int'l Joint Research