2014 Fiscal Year Research-status Report
新物質開発及び精密熱量測定から切り開く乱れに強い異方的超伝導の物理
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26800183
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加瀬 直樹 新潟大学, 自然科学系, 助教 (10613630)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超伝導 / 比熱 / 強相関系 / 極低温 |
Outline of Annual Research Achievements |
不純物散乱に強い異方的超伝導体Y5Tr6Sn18(Tr; transition metal)を明らかにするために、精密比熱測定装置の開発に成功した。バックグラウンドは15 nJ/K2(T = 0.3 K)程度と非常に小さくなり、また低温部の上昇を消すことに成功した。さらに、超伝導ギャップを議論する上で大きな障害になる、低温部での磁場依存性に関しては0.3 Kにおいて2 nJ/K2程度に抑えることに成功した。この磁場依存性は、通常では低温になるにつれて大きくなるが、希釈冷凍機範囲でも超伝導ギャップを議論する上で邪魔にならない程度しか存在しないと考えられる。
また、Y5Ir6Sn18に関して詳細な比熱測定を行った結果、異方的な超伝導ギャップが存在することを明らかにした。また、Y5Co6Sn18の測定も行ったが、Tc = 0.7 Kであるため、3He冷凍機の温度範囲内では超伝導ギャップを明らかに出来ていない。
本年度は他にも、不純物散乱に強い異方的超伝導を別のアプローチから研究することを目指して、熱伝導率測定装置の開発にも取り組んだ。Nbの参照試料の測定は終了し、問題なく超伝導状態の測定可能な装置を開発することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた精密比熱測定装置の開発に成功した。成功した比熱セルのバックグラウンドは非常に小さく、さらに磁場依存性も非常に小さいことから、超伝導ギャップを議論するのに大いに貢献すると考えられる。
また、Y5Ir6Sn18の超伝導状態を明らかにすることが出来たため、研究は予定通りに進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、作成に成功した比熱測定装置を使用して、Y5Tr6Sn18の超伝導状態をより詳細に調べていく。さらに、ホール効果の測定を行うことで、キャリアーの量を明らかにし、clean limitなのかdirty limitのどちらにあるのかを明らかにする。
また、開発に成功した熱伝導率装置によって、超伝導ギャップがどう見えるのかを明らかにする。
さらに物質開発も積極的に行い、Ru, Os化合物の合成をする。
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Causes of Carryover |
68000円程度の未使用分が発生したが、これは予想よりも液体Heを使用した実験が行えなかったことが原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
寒剤として使用する液体Heの購入に使用する。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Field-induced incommensurate phase in the strong-rung spin ladder with ferromagnetic legs2014
Author(s)
H. Yamaguchi, H. Miyagai, M. Yoshida, M. Takigawa, K. Iwase, T. Ono, N. Kase, K. Araki, S. Kittaka, T. Sakakibara, T. Shimokawa, T. Okubo, K. Okunishi, A. Matsuo, and Y. Hosokoshi
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Journal Title
Phys. Rev. B
Volume: 89
Pages: 220402(R)
DOI
Peer Reviewed
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