2015 Fiscal Year Annual Research Report
角度分解光電子分光による高配向導電性高分子薄膜のバンド構造の研究
Project/Area Number |
26800190
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
八木 創 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (90442532)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 導電性高分子 / 光電子分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表的な導電性高分子であるポリチオフェンの誘導体であるRR-P3HTのバンド構造を観測し、その伝導機構(分子鎖内伝導と分子鎖管伝導それぞれの寄与やキャリア濃度による電子状態の変化)を明らかにする目的で、RR-P3HTの高配向性薄膜を摩擦転写法により作製し、その角度分解光電子スペクトルを測定した。試料表面に貼ったスコッチテープを真空チャンバー内で剥離することで、紫外光電子スペクトル(UPS)の測定が可能な清浄表面を得られることが分かった。作製した高配向薄膜は真空中でアニールしたものと同様の高い結晶性を持っていることが角度積分UPSから示唆されたが、研究期間内にバンド分散を観測することはできなかった。これは試料の配向性がまだ不十分であったためと考えられる。 作製した高配向性薄膜試料にF4-TCNQを真空蒸着することでホールドープを行い、その角度積分光電子スペクトルを測定した。ドープ量はC 1sとF 1sのX線光電子スペクトルピークの強度比から見積もった。ドーピングにより新たな構造(ショルダー)が観測され、スペクトルの2階微分から求めたピーク位置はドープ量が増えると低エネルギー側へ変化することが分かった。このような変化は例えばビチオフェンへの電子ドープ等の場合に観測されており、ピーク位置の変化は準粒子の変化(ポーラロンからバイポーラロン)によるものと考えられている。今回RR-P3HT薄膜で観測されたピーク位置の変化も同様に、準粒子の種類がドープ量によって変わったためと考えられる。
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Research Products
(1 results)