2017 Fiscal Year Annual Research Report
Quantum Monte Carlo study on quantum magnets and bosonic gases coupled to a cavity field based on multidiscontinuity algorithm
Project/Area Number |
26800199
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 康之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50708534)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 磁性 / 量子スピン液体 / 電気磁気効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度本研究課題に関する研究成果として,以下の2つトピックの研究成果を公表した. ・キタエフ量子スピン液体:ハイパーオクタゴンおよびハイパーノナゴン格子上の3次元拡張キタエフ模型の有限温度相転移についてモンテカルロ法を用いた解析を行った.ハイパーオクタゴン格子の場合には有限温度で局所的対称性の破れを伴わない相転移が確認された.この転移はこれまでハイパーハニカム格子で確認された相転移と定性的に同じものであり,相転移温度は局所的に定義されるZ2保存量(フラックス)を反転するのに要するエネルギーと密接な関係があることを示唆する結果を得た.一方ハイパーノナゴン格子では,取り扱いが容易な極限でのシミュレーションを行い,これまでの拡張キタエフ模型と異なる非一様なフラックス配置が基底状態に現れ,カイラルスピン液体が実現することを示した.また有限温度において一次転移を示すことも見出した. またこれまでd5電子配置のイオンを有する物質が,キタエフ模型実現の候補物質として提案されてきたが,その可能性を広げd7電子配置のイオンを有する物質でもキタエフ模型が実現する可能性を指摘した. ・カイラルソリトン格子系:カイラルソリトン格子と呼ばれる特異なスピン配位を有する遍歴磁性体が近年注目を集めている.これまで局在スピンの自由度だけを加味した模型の解析が主に行われており,実験で観測されるスピン配位がよく説明されてきた.実験ではカイラルソリトン格子形成に伴い遍歴電子の伝導特性にも異常が観測されている.伝導電子に与える影響を評価するため,伝導電子を顕に取り入れた模型のモンテカルロシミュレーションを行いカイラルソリトン形成とそれに伴う伝導度異常を再現することに成功した. 研究機関全体を通じて主に量子磁性体の,電気磁気応答,異常伝導度,スピン液体といった注目を多く集めている現象の研究を推し進めることに貢献した.
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Research Products
(12 results)