2016 Fiscal Year Annual Research Report
Ergodic properties in athermal diffusion processes and its applications
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26800204
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
秋元 琢磨 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特任准教授 (30454044)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 異常拡散 / 不均一環境 / 非熱的拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、揺動散逸定理が破れるような非熱的な揺動力を受けて運動する粒子の拡散過程を明らかにすることを目的として、以下のような成果を挙げた。 1) stored-energy-driven Levy flight (SEDLF)という待ち時間とジャンプの長さがカップルした非熱的な揺動力で駆動されるランダムウォークモデルを提案した。SEDLFは、よく知られた異常拡散のモデルの一つである連続時間ランダムウォーク(CTRW)の拡張モデルとなっており、冷却原子の拡散モデルや加速されたブラウン運動モデルとも関連している。本研究では、このSEDLFにおいて、時間平均で定義された平均2乗変位の揺らぎを解析的に示し、そのエルゴード特性(長時間平均が一定値に収束するかどうか)を明らかにした。その結果、待ち時間分布や待ち時間とジャンプの長さを関係つけるいくつかのパラメータ領域において、エルゴード性が破れることがわかった。また、待ち時間に関する初期アンサンブル依存性を明らかにし、拡散性やエルゴード性の初期アンサンブル依存性を明らかにした。 2) 自己駆動するゲルを用いて、その拡散性を時間で定義された平均2乗変位により特徴付けた。その結果、拡散性は時間とともに減衰するというエイジング現象を発見し、さらに、ゲルのサンプル依存性が非常に大きくことも明らかにした。 3) 地震のエネルギーの蓄積と放出過程に関しては、ある程度領域を広くとる必要があるため、明確な相関は見ることができなかった。しかし、SEDLFモデルの応用として、レーザー冷却で冷却された原子の拡散と関連していることがわかった。 最終年度では、特に、SEDLFの連続版のモデルを解析し、拡散性のエルゴード特性を明らかにし、論文として出版した。
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Research Products
(17 results)