2015 Fiscal Year Annual Research Report
新しいテラヘルツ波源としての冷却リュードベリ原子からの超放射の研究
Project/Area Number |
26800215
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高峰 愛子 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 研究員 (10462699)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リュードベリ原子 / 冷却原子 / テラヘルツ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
高励起リュードベリ原子はある条件下では隣接準位への遷移確率が高いため超放射を起こし、近年新しい電磁波領域として注目を浴びているテラヘルツ波領域の電磁波パルスを発生させる。室温のリュードベリガスは超放射の波長程度の範囲内でほぼ一様に分布するが、密度分布が一様でない磁気光学トラップ中の冷却リュードベリ原子サンプルでは、冷却リュードベリ原子で支配的に働く原子間相互作用のために超放射を観測することが原理的に難しい。しかし。最近、冷却原子サンプルの大きさが超放射波長の半整数倍という、Dicke条件を満たしていない条件下において冷却リュードベリ原子の超放射が観測された。ただし、この先行研究では、原子サンプルの大きさによる制限のために、超放射観測できる準位(すなわち同時に超放射波長)が限られていた。本研究はこのモードマッチング条件を満たす領域を拡大し、系統的かつ詳細に調べるために従来よりも大きい冷却リュードベリ原子からの超放射を観測することを目的とした。 昨年度、作製したハイパワーレーザー光学系を使って従来よりも3倍程度の大きさの冷却原子雲の観測に成功したが、この光学系に安定性の面で問題があったため、今年度はレーザー周波数ロック機構に改良を加え、安定に冷却原子をトラップできるようにした。また、リュードベリ励起用の大強度480nmのレーザーの設計を進め必要な物品を整備した。リュードベリ原子からテラヘルツ超放射を観測しその素性を系統的に探るための準備が整ったと言える。国際会議LEAP2016にて本研究に関する発表を行った。
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