2014 Fiscal Year Research-status Report
沈み込み帯プレート境界の温度構造と滑り様式:グローバル比較研究
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26800230
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 育子 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (80709866)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 沈み込み帯温度構造 / マントル対流 / 3次元温度構造モデル / 地震・火山分布 / 東北日本沈み込み帯 / 関東地方沈み込み帯 / カスケーディア沈み込み帯 / ニュージーランド沈み込み帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
沈み込み帯では地震やマグマの生成など様々な現象が起きており、これらの分布は温度構造に依存している。本研究では、沈み込み帯温度構造の推定において、スラブの形状が複雑で2次元温度構造モデルの適用が適切でない沈み込み帯を対象に、3次元温度構造モデルを構築し、温度と地震・火山の分布の関連を検証している。温度構造の計算には3次元有限要素法の数値計算コード 3DPGCthermとMultiphysics COMSOL を使用している。26年度前期では、現実的なスラブの形状を取り入れた東北日本の3次元温度構造モデルを完成させ、スラブの形状と斜め沈み込みによるマントル対流パターンへの影響、またマントル対流による温度構造への影響を定量的に推定し、地震・火山の分布との関連を議論した(Wada et al., submitted to EPSL)。26年度後期では、東北日本モデル構築の経験を生かし、フィリピン海プレートと北米プレートの二つが沈み込んでいる関東地方の3次元温度構造モデルの構築を開始した。地震波速度構造・震源分布などにより精細に描き出されたスラブの形状を取り入れるとともに、コードの改良を行い、温度構造を推定した。関東地方の中心部では、重なり合うスラブの影響で温度が低くなっている。この領域はプレート境界地震及びスラブ内地震の発生深度が局所的に深くなっており、比較的低い温度が地震性滑りを促していると考えられる。また、東北や中部に比べると火山が内陸よりであることも、推定されるマントルウェッジ内の温度構造と調和的である(Wada and He, in prep.)。カスケーディア沈み込み帯では沈み込むスラブの南端にあたるエッジの周りで複雑なマントル対流パターンが予想される。まず2次元モデルを構築し、火山岩の化学組成から推定された火山下の温度を用いて、メルト生成過程について研究を行った(Walowski et al., Nature Geoscience)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東北日本、及び関東地方の温度構造モデル構築において、詳細なスラブの形状と適切な境界条件を取り入れるため、モデルの解像度を予測していたよりも大幅に増やしたため計算時間が増大し、また様々なモデルジオメトリーを用いて幾度と再計算を行ったため、予定よりも研究の遂行がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
関東地方のモデルの結果を取り纏めた論文を現在作成中である。今後、カスケーディア沈み込み帯とニュージーランド沈み込み帯の3次元温度構造モデルの構築に着手する予定であるが、研究代表者が平成27年5月31日をもって、現在の所属研究機関である東北大学から米国のミネソタ大学へ異動するため、本補助事業は廃止されることとなる。
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Research Products
(3 results)