2014 Fiscal Year Research-status Report
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26800232
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀 久美子 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 研究員 (30636858)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地球電磁気 / 地球・惑星内部構造 / 固体地球物理学 / 地磁気永年変動 / 地球コアダイナミクス / 回転磁気流体波動 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球外核のように、低粘性で自転の影響を強く受け、かつ、磁場の影響をうけたような状況において、どのような時間変動が基本振動として存在し得るのかを線形解析により明らかにし、非線形数値シミュレーションによってこの振動がより現実的な状況で励起され得ることを確認した。 まず、ある単純モデルにおいて、基本振動モードとその物理メカニズムを調べた。このモデルでは、球殻の形状をしている地球外核を傾いた境界で挟まれた筒状の系で模倣して扱うことにより、低粘性で高速回転する球殻内にある熱対流をカーテシアン座標系にて定性的に再現することができる。これは理論解析を行う際に度々使用される古典的モデルの一つであるが、本研究では、方位角方向に背景磁場を与えた場合の対流運動(磁気対流)の解析へ発展させた。その結果、この背景磁場の強さや磁気拡散の強さにより、複数の振動モードが現れ得ることがわかった。それぞれのモードについて分散関係式を導出し、これにより基本振動モードの分類を行った。 次に、この単純モデルにおける解析・分類を基として、最も重要だろうと考えられる一つの振動モード(遅い磁気ロスビー波)に注目し、球または球殻の形状を考慮した線形解析を行った。その振動モードの円柱座標系における分散関係式を解析的に導出した。その結果、このモードは、地球外核内の方位角方向の磁場(トロイダル磁場)の二乗平均に比例した位相速度で西向きに伝播することがわかった。 この波動モードが地球外核内で実際に励起されうるかどうかを評価するため、非線形磁気流体(MHD)ダイナモシミュレーションを行ったところ、線形理論から期待された通りの波動伝播速度をもつシグナルが確認された。これは、地球外核内にて遅い磁気ロスビー波が励起され得ること、また、この波動モードを観測的に検出することにより地球外核内のトロイダル磁場強度を推定し得ることを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の平成26年度研究計画をほぼ達成した。その主成果を投稿論文としてまとめ、Physics of the Earth and Planetary Interiors にて出版した。国内・国際学会 2 件にて成果発表をすでに行い、今夏に開催される国際学会 1 件への招待講演を受けている。
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Strategy for Future Research Activity |
遅い磁気ロスビー波の励起条件および励起メカニズムを明らかにするため、非線形 MHD ダイナモおよび磁気対流の数値シミュレーションにおいてパラメータサーベイを行う。その後に地磁気永年変動の観測データと比較し、理論の妥当性を評価する。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも進展があり、数値シミュレーションのデータ解析のために使用する計算機や関連物品の購入費、成果発表のための学会参加旅費、および論文投稿費が必要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
数値シミュレーションのデータ解析のために使用する計算機や関連物品の購入費、成果発表のための学会参加旅費、および論文投稿費として使用する予定である。
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