2014 Fiscal Year Research-status Report
地震時地磁気変動の解明を目指した応力磁気効果動的問題の定式化
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26800233
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 健一 京都大学, 防災研究所, 助教 (20436588)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地磁気 / 地震 / 応力磁気効果 / 電気伝導度 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震発生時に、観測点に地震波が到達するよりも早く地磁気変化が観測される例がある。大地の中のさまざまな力学を電流・磁化に、したがって電磁場変動に変換するメカニズムは複数存在するので、地震発生時に電磁場変動が生じること自体はほとんど明らかなのだが、「十分な大きさの電磁場変動が」しかも「地震波到達よりも先に」観測されうるのか、ということはまったく自明ではない。 そこで、力学作用を電流・磁化に変換するメカニズムのひとつである応力磁気効果に焦点を絞り、これが地震波到達前の地磁気変化を説明しうるのかを確かめるために、地殻を単純化した状況においてこの現象を記述する表現式をもとめ、観測記録と比較するのが本研究の内容である。 今年度は、均質有限電気伝導度媒質中の食い違い変位源から生じる弾性波動場に対応する電磁場変動の表現式を求めた。手計算により、閉じた形の表現式を得た。この表現式に具体的なパラメータを入れることにより、実際に地震発生時に期待される地磁気変化について、1.地磁気変化は地震波到達前に確かに生じる、2.しかし現実的な震源過程を考えると地震波到達前の地磁気変化の大きさは観測限界ギリギリである、3.電気伝導度が大きい場合と小さい場合では期待される地磁気時間変化のパターンに大きなちがいがある、ことなどが明らかになった。 また、ここで用いた単純化が正しいことを、二層構造媒質の場合についての数値解と比較することで確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に初年度の実施内容として予定していた内容、すなわち「均質媒質の場合の解の導出」と「二層構造の場合との比較による妥当性の検証」が、いずれもほぼ完成したので、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、2年目は、1年目に得た結果(応力磁気効果によって生成される磁場変動の表現式、および均質モデルを用いた計算の妥当性と限界を示す計算結果)を学術誌や国際会議で発表するとともに、実際に観測された地磁気変動記録との比較に着手する。 データとの比較においては、すでに学術誌等で公開されているデータに関しては問題はないが、より広範囲のデータに対する検討を行うことでより確度の高い結論が導かれると期待できる。そのために、現時点では共同研究者に含まれていない国内外の研究者との連携が望まれるので、相手方のデータの公開状況等にも留意しながら、必要に応じて共同研究の打診をすることも視野に入れて研究をすすめる。
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Causes of Carryover |
物品費として電子計算機の購入費用を見込んでいたが、中古のものがまだ利用できたため、初年度は購入しなかった。また、論文投稿のための英文校閲費用を見込んでいたが、初年度には英文校閲を依頼する必要がまだ生じなかったため、使用しなかった。以上の理由により、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在使用中の電子計算機は性能の劣化がはじまっているようであり、新年度の計画に含まれる数値計算のためには新規購入が望まれるので、費用を支出する予定である。また、英文校閲費用についても、早い段階で必要になると見込まれるので、同じく支出する予定である。
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