2014 Fiscal Year Research-status Report
惑星着陸機搭載元素分析用X線発生装置の安定高輝度化
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26800239
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長岡 央 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (10707805)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蛍光X線分析 / 惑星探査 / 能動型X線発生装置 / 焦電結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、将来の惑星着陸探査への搭載を目指した元素分析装置として、焦電結晶を励起源として採用した能動型のX線発生装置の開発である。しかし既存の焦電結晶型X線発生装置には、安定した高強度の照射ビームが得られず、分析に必要十分な統計精度が得られないという問題点がある。そこで本研究では、現状で十分とはいえない焦電結晶のX線発生機構の物理的理解を含めて、焦電結晶型X線発生装置のX線強度の安定化と高輝度化を目指した。当該年度は、高輝度化に関連する項として、以下を検討した。 1)発生X線強度の高輝度化に関する研究として以下の実験を行った。 焦電結晶型のX線発生装置では、温度変化の直後が最もX線が発生し、その後発生量は緩やかに減少することがわかっている。従来使用しているcongruent型の焦電結晶より、熱伝導率に優れたstoichiometric型結晶を使用し温度サイクルを早める工夫を行い、X線発生効率の上昇を試みたが、結果stoichiometric型結晶ではX線発生が生じなかった。 2)発生X線強度の高輝度化に関する研究として、以下の実験を行った。 発生X線強度と、焦電結晶の幾何配置、結晶加熱温度変化量への依存性、内部封入気体の圧力依存性について系統的な実験を行った。結果として上記に挙げたパラメータは発生するX線量に大きく影響していることがわかった。 以上の研究成果は、長岡他2015査読付論文として「X線分析の進歩46」に掲載され、そこにて詳しく述べられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究では、交付申請書に記載した平成26年度の研究実施計画の内容について概ね達成することができ、その研究成果を査読付き論文としてまとめることができた。当該年度に得られた基礎実験データを、次年度研究計画のX線発生装置の設計に生かすことが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、当該年度で得られたX線発生装置の高輝度化に向けたパラメータの基礎実験データを基として、最適な条件のもと焦電結晶型X線発生装置の設計を行い、その試作品の作成を行う。
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Causes of Carryover |
物品費として申請していた機材については、改めて検討した結果、その一部は今年度の購入は不要であると判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では実際に発生器の作成に取り掛かるが、その製作費用が従来の見積もりより大きくなる恐れがあるのでその製作費用に一部使用する。
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Research Products
(4 results)