2015 Fiscal Year Research-status Report
熱帯対流圏界層力学場のフィルター効果と振るい分け実例-赤道波による脱水過程-
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26800251
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 順子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 大気海洋相互作用研究分野, 技術研究員 (50512878)
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Project Period (FY) |
2015-03-01 – 2018-03-31
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Keywords | 対流圏界層 / 赤道波 / 海大陸 / インドネシア / 巻雲 |
Outline of Annual Research Achievements |
1:赤道上空の対流圏界層における水蒸気の波動による脱水過程を調査するため、研究計画の予定どおり、平成27年12月にインドネシア・西スマトラ州・コトタバンにて特殊ゾンデ観測を実施した。観測期間中、水蒸気ゾンデ・オゾンゾンデ・ラジオゾンデを合計5セット放球した。さらに得られたデータの品質チェックをおこない、解析研究において信頼性のあるデータであることを確認した。また現地観測点にある、赤道大気レーダー(京都大学とインドネシア国立航空宇宙研究所の共同運営)のデータについて、京都大学の共同研究者より使用委託を受け、ゾンデデータとの比較解析をおこなった。その結果、赤道大気レーダーの東西風・南北風は、ゾンデと矛盾しない値であり、時間連続性に優れた赤道大気レーダーデータをもちいて、ゾンデデータがない時間帯の風系も解析可能であることを確認した。
2:客観解析データをもちいて大気波動の抽出解析をおこない、上記の観測期間中には複数の赤道波が現地の上空を通過していたことを確認した。そのうち赤道ケルビン波と赤道ロスビー波は、巻雲生成に適した波の位相を持っており、水蒸気ゾンデから得られた相対湿度も巻雲生成があったことを示していた。
まとめ:本年度においては、研究目的に掲げた「大気波動にともなう力学場の変動による、巻雲生成と水蒸気変動の解明」が可能なデータを取得することができ、予備解析をおこなった。来年度以降、さらに衛星観測データなどとあわせて解析をおこない、研究目的を果たしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
次年度に予定していた、観測期間中にみられた波動の同定をおこなうことができ、当初の計画以上に達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の調書提出の段階では想定していなかったが、今回の観測期間中に、現地において首都大学東京(首都大)がライダー観測を実施した。ライダーデータからは、時間分解能に優れた巻雲のシグナルを得ることができる。次年度、新たに首都大と研究協力関係を構築し、ライダーデータの解析委託を受ける予定である。これまで取得したデータとライダーデータをあわせて解析することで、波動の位相と、巻雲の生成消滅過程の対応関係について、より詳細に解明できる見込みである。
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Causes of Carryover |
来年度以降に、大容量データをもちいて計算をおこなう必要性が生じた。その際には、データを格納するハードディスク等を購入する予定である。このため、今年度は既存の計算機資源をもちい、繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、計算機用品(ハードディスク、USBメモリ等)を購入する予定である。
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Research Products
(4 results)