2016 Fiscal Year Research-status Report
熱帯対流圏界層力学場のフィルター効果と振るい分け実例-赤道波による脱水過程-
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26800251
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 順子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 大気海洋相互作用研究分野, 技術研究員 (50512878)
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Project Period (FY) |
2015-03-01 – 2018-03-31
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Keywords | 赤道波 / 対流圏界層 / インドネシア / 巻雲 / 水蒸気 |
Outline of Annual Research Achievements |
1:昨年度実施したインドネシアでの特殊ゾンデ観測で得られたデータ解析を引き続きおこなった。共同研究機関のデータ(巻雲ライダー観測・首都大学東京、大気レーダー観測・京都大学)の提供を受け、さらに衛星観測、客観解析の各データをあわせてもちい、赤道ケルビン波による巻雲の出現高度規定に関するメカニズムについて、事例解析により解明した。巻雲が出現する高度や気温の情報は、大気の放射収支を計算する上で重要な要素となり、地球温暖化の目安となる地表気温の算出に影響を与える。このため、熱帯域の上空を頻繁に通過する赤道ケルビン波により、巻雲が出現する高度が規定される、という本解析の結果は非常に重要である。この結果を国内外の学会で発表した。
2:特殊ゾンデ観測データの公開に向け、準備作業を進めた。具体的には、取得したデータの整理やクイックルックの作成をおこなった。ところで、特殊ゾンデは取り扱いが困難なため、特殊ゾンデ観測に興味があっても躊躇する研究者は非常に多い。このため、類似の観測をおこなう大学や研究所と連携し、特殊ゾンデ観測のマニュアル整備作業を開始した。
まとめ:昨年度観測したデータの事例解析は、ほぼ終了段階にある。今後、今回の観測事例の一般化をおこなうため、過去に熱帯の他地域で観測されたデータを収集し、統計解析をおこない、観測事例の信頼性を確認したい。その後、これまでの結果を論文にまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた項目のうち、研究解析は概ね終了した。次年度は、主にデータ公開および論文化に向けた作業をおこなう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1:データ公開について 昨年度取得したデータについて、ドキュメント(観測野帳)の整理をおこない、一般公開をする予定である。課題提案者の所属先に整備されているデータ公開用Webページ、もしくは新たにWebページを作成し、データ公開をおこないたい。 2:論文化について 今年度までの研究成果(観測データをもちいた事例解析「赤道ケルビン波による温度逆転層が規定する巻雲出現高度」)の信頼性を確認するため、下記の項目について統計解析をおこなう。それを事例解析の結果とあわせた内容で論文化を目指す。 ・赤道ケルビン波と温度逆転層の関係:客観解析データで抽出した赤道ケルビン波イベント時における、COSMIC衛星観測データで温度逆転層の出現について調査する。赤道ケルビン波と温度逆転層がとくに良い対応をする季節や経度を明らかにする。 ・事例解析との整合性を確認:赤道ケルビン波と温度逆転層がよい対応を見せる時期・地点について、巻雲の出現性をライダーデータをもちいて明らかにし、事例解析で見出した結果と整合的であるかを確認する。
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Research Products
(12 results)