2014 Fiscal Year Research-status Report
火山灰凝集過程:降下火山灰の高速度カメラ多点その場観測と粒径分析からの解明
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26800261
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
三輪 学央 独立行政法人防災科学技術研究所, 観測・予測研究領域 地震・火山防災研究ユニット, 任期付研究員 (80615659)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 火山灰 / 火山噴火 / 降下 / 凝集 / 粒子 / 火山噴煙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、火山噴火に伴う降下火山灰の凝集効率やその距離変化を調べるために、高速度カメラを用いた多点降灰観測を行うものである。今年度は野外観測用高速度カメラの選定及び計測システムの構築と、人工的に降らせた火山灰の実験的撮影、そして桜島火山における野外単点カメラテスト観測を行った。 本研究課題で用いる高速度カメラはOptronis社製のものとした。また、撮影用のレンズはライカ製のものを業者からレンタルし経費を節約した。さらに、野外観測が可能になるようにカメラドライバとなるPCボードを設置する外付けケースを用意し、エクスプレスカードを介して制御用ノートPCを接続したシステムを開発した。 開発した撮影システムにより、火山灰粒子(粒径250-1000μm)が撮影可能か確かめるため、人工的に灰を落下させる実験を行った。その結果、火山灰のような細粒粒子でも、レンズの条件を選べば、1000Hz程度の時間解像度で落下中の様子を撮影できることが分かった。 開発した撮影システムを用いて、桜島火山にて単点カメラ降灰観測を行った。撮影システムは車載し、インバータを介することで稼働させた。野外観測により、降灰撮影が可能であることは確認されたものの、いくつかの問題点が明らかとなった。一つは、実際の降灰下では、想定していたよりも粒子空間濃度が低いことである。このため、粒径をより正確に見積もるために絞りを小さくしすぎると、解析に耐えられるほどの粒子数が稼げないことが分かった。二つ目は、凝集様式の時間変化である。本研究課題では、多点カメラ観測により凝集効率の距離変化を調べる予定であるが、テスト観測により、凝集効率は一観測点でも時間変化することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者の異動により研究費が利用可能になるまでに時間が掛かったことで、研究の初動がやや遅れた。また、当初は多点カメラ観測をすぐに行う予定だったが、高速度カメラの野外での使用条件を先に調べるのが得策だと考え、一年目は単点カメラ観測を行ったため、当初の予定よりもやや遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
単点カメラ観測の目途は立ったので、来年度は桜島火山での多点カメラ観測に挑戦する。ただし野外観測の前に、降灰域における空間濃度を再現したような人工的な降灰実験を行い、解析に適切なレンズ条件を正確に求める。また、多点観測による凝集効率の距離変化だけでなく、テスト観測で示唆された凝集効率の時間変化も出来る限り検出して、時空間的な火山灰凝集効率変化を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
当初は高速度カメラ二台を一年目に購入し、多点カメラ観測を行う予定だった。しかし、野外観測を行う前に高速度カメラを用いる条件(レンズ条件やインターバル時間等)を決める方が得策だと考えたため、まず一年目は高速度カメラを一台購入することとし、その分が次年度使用額に含まれることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
二台目の高速度カメラ観測システム構築のために用いる。
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