2016 Fiscal Year Annual Research Report
Microbial processes of micro-scale lamination in hot spring deposits
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26800262
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
高島 千鶴 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (10568348)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 鉄酸化細菌 / シアノバクテリア / 炭酸塩鉱物種 / 細胞外多糖類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は鹿児島県霧島市にある塩浸温泉の堆積物について研究を進めた. 1)湯元に見られる鉄質堆積物:昨年度までの研究において,鉄質堆積物の沈殿過程に微生物の代謝が関与していることが示唆されていた.そこで,本年度は遺伝子解析次世代シーケンサー(Miseq)によりその微生物群集の特定を行った.その結果,プロテオバクテリア門が最も多く検出され(約68 %),次にアクウィフェクス門が多くなっている(約20 %).プロテオバクテリアの約95 %はベータプロテオバクテリアであった.ベータプロテオバクテリアにはGallionella ferruginea,Leptothrix ochraceaなどの鉄酸化細菌が属しているため,塩浸温泉では鉄酸化細菌により鉄沈殿が起きた可能性が高い.鉄酸化細菌の中には低い溶存酸素濃度・中性環境を好む微好気性細菌がおり,塩浸温泉の湯元の環境特徴に適合する. 2)下流に見られる炭酸塩堆積物:微生物群集の遺伝子解析の結果,シアノバクテリアが最も多く検出され,蛍光顕微鏡観察結果と一致する.炭酸塩堆積物は堆積面に対して垂直に成長した結晶と堆積面に平行な細粒バンドで構成される幅数100ミクロンの縞状組織を示す.細粒バンドの部分にはトルイジンブルー染色により細胞外多糖類(EPS)が多いことがわかった.おそらく縞状粗組織はシアノバクテリアの光合成周期を反映した日周期であると考えられる. 塩浸温泉は流路によって炭酸塩鉱物種が異なっている.塩浸温泉の物理・化学的特徴はカルサイトの沈殿を示すが,実際はアラゴナイトが優勢に沈殿している.EPS染色は,アラゴナイトの部分ではEPSが多く,カルサイトの部分はEPSが少ないことを示した.よって,シアノバクテリアの代謝生成物により炭酸鉱物種が支配されいてることが判明した. これらの結果は,地球惑星科学連合および地質学会で発表を行っている.
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[Journal Article] Transition of microbiological and sedimentological features associated with the geochemical gradient in a travertine mound in northern Sumatra, Indonesia2016
Author(s)
Sugihara, C., Yanagawa, K., Okumura, T., Takashima, C., Harijoko, A., Kano, A.
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Journal Title
Sedimentary Geology
Volume: 343
Pages: 85-98
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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