2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26800264
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
和仁 良二 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (70508580)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 頭足類 / 孵化サイズ / 繁殖戦略 / ベレムナイト |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,現生イカ類(コウイカおよびトグロコウイカ)における殻体(気房部)の解析を行った.野外調査によって採取された標本,および購入標本を用いて解析を行った.殻体は中心線に沿って切断・研磨し,殻体内部構造を観察した.その結果,最初の数部屋における隔壁間隔に比べ,その後の隔壁間隔が大きく減少する傾向を見いだした.飼育記録や殻体の同位体比解析などの研究成果を考慮すると,この隔壁間隔の変化するタイミングが,孵化のタイミングを表していると考えられる.同様の隔壁間隔の変化は,現生オウムガイ類においても孵化のタイミングと同時であることが知られており,現生イカ類においても,同様の関係性があることが推測される.現生イカ類において,隔壁間隔の変化から孵化のタイミングが理解できる可能性が高まった.同様の関係性が,化石イカ類でもみられると仮定すると,隔壁間隔の変化を認識することで,ベレムナイト類を含む化石イカ類における孵化のタイミングを復元することが可能になると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現生イカ類において得られた成果は,第9回国際頭足類学会において口頭発表するとともに,Swiss Journal of Palaeontologyにおいて出版予定の特集号に受理された.平成27年度以降に,ベレムナイト類を含む化石イカ類に応用するにあたり,現生イカ類での研究成果をまとめることができた.研究開始当時の予定どおりに,現生イカ類での研究成果を国際雑誌に報告することができたので,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降は,平成26年度に確立した手法を応用し,ベレムナイト類の気房部の隔壁間隔から孵化サイズを明らかにすることを目的として,研究を進める.野外調査を行い,保存良好なベレムナイト類を採取し,得られた標本をもとに解析を進めていく予定である.
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