2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26800264
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
和仁 良二 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (70508580)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 頭足類 / 孵化サイズ / 繁殖戦略 / ベレムナイト |
Outline of Annual Research Achievements |
絶滅生物のベレムナイト類の孵化段階を化石記録から特定することができなかったため,その孵化サイズや孵化直後の遊泳能力などの情報はほとんど明らかにされていない.本研究では,いくつもの部屋に仕切られた気室部分の解析をもとに,ベレムナイト類の孵化サイズを復元することを目的とする.平成27年度は,ベレムナイト類の採取を目的とした野外調査と,採取した殻体の解析を行った.スイス,ドイツ,フランスに分布する,ジュラ紀前期Pliensbachian期の地層を主な研究対象として,野外調査を行った.各調査地において,多数のベレムナイト類の標本を採取することができた.多くのベレムナイト標本は,鞘の部分だけが保存されたものであったが,一部の標本においては,鞘の部分の内側に気室部分が保存されている状態であった.これらの標本を研究室に持ち帰ったのち,分類を行うとともに,殻体を中心線に沿って切断・研磨したのち,殻体内部構造を観察した.いくつかの産地から得られた標本では,保存状態が悪く,鞘の部分の内側に気室部分が保存されている標本においても,隔壁が化石化過程において消失しており,殻体内部構造の観察が行えないことが明らかになった.保存良好で,殻体内部構造の観察が可能であった標本については,隔壁間隔の変化パターンを明らかにした.その結果,成長最初期において,隔壁間隔パターンが大きく変化する箇所が認められないことが明らかになった.平成26年度に現生イカ類(コウイカ類およびトグロコウイカ類)を用いて解析し,明らかになった隔壁間隔の変化パターンから考えると,隔壁がひとつもない状態で孵化した可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り,スイス・ドイツ・フランスにおいて野外調査を行い,保存良好なベレムナイト標本を採取できた.それを用いて,隔壁間隔の変化パターンの傾向を明らかにするとともに,孵化のタイミングが示唆された.以上のことから,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,再度スイス・ドイツ・フランスにおいて野外調査を行い,追加標本を採取する予定である.これらの標本を用いて,さらに電子顕微鏡による殻体構造の観察などをもとに,ベレムナイト類での孵化のタイミングの理解を進める.
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