2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26800276
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北台 紀夫 東京工業大学, 地球生命研究所, WPI研究員 (80625723)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生命の起源 / 化学進化 / アストロバイオロジー / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
地球上の生命はいつ,どこで,どのように誕生したのか?本研究の目的はこれら根源的な問いに対し科学的な解を与えることであり,その戦略の一つとして室内実験による生体分子の反応性の定量的評価を進めている.今回対象とする現象は鉱物表面におけるアミノ酸の重合化であり,鉱物による重合促進効果を熱力学的に評価する.研究計画は3つに分けられ,まず水溶液中のアミノ酸・ペプチドの熱力学的パラメータを決定し,次に鉱物へのこれらの吸着平衡定数を実験から導出する.最後に水溶液中,鉱物表面それぞれにおけるアミノ酸・ペプチドの熱力学的性質の差分から,アミノ酸の重合挙動を平衡論的に予測する. 最終年度は主に,吸着平衡定数を求める実験を行った.アミノ酸としてはリシンを,ペプチドとしてはリシンの2量体を,鉱物としてはアモルファスシリカを利用した.リシン2量体はリシン単体に比べて大きな吸着量を示し,中性pH以上においてpHの増加と共に吸着量が増大する傾向を示した.この結果を吸着理論の一つであるETMLによって分析し,平衡定数を導出した.得られた定数を水溶液中におけるリシンの重合平衡定数(Kitadai, 2014)と組み合わせることで,任意のシリカ濃度・pHにおけるリシンの重合挙動を熱力学的に予測することが可能となった.本研究の成果によって,アミノ酸の重合化に適した原始地球環境を定量的に評価する基礎データと,これを導く方法論が示され,生命起源の解明に向けた重要な一歩が踏み出された.
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Research Products
(9 results)