2014 Fiscal Year Annual Research Report
1タンパク質レベルでみる生体内電子移動反応:速度・構造・物性の相関関係の解明
Project/Area Number |
26810003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
近藤 徹 東京工業大学, 理工学研究科, JSPS特別研究員 (30452204)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 単一分子分光 / 単一タンパク質分光 / 顕微分光 / 光合成反応中心 / 光合成 / 電子移動 / エネルギー移動 / 光合成アンテナ系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、単一タンパク質内で生じる電子移動の速度とタンパク質構造・物性の同時解析及びそれらの相関関係の解明である。今年度は、光合成細菌ヘリオバクテリアの光合成反応中心タンパク質(hRC)内で電子移動担体として機能するクロロフィル色素(Chl a-A0)の1分子スペクトルを検出し解析した。新たに開発した顕微分光装置を用い、Chl a-A0 1分子の測定系を確立した。fs レーザー光をフォトニック結晶ファイバーに入射して得られた広帯域(500~1000 nm)のスーパーコンティニューム(SC)光をプリズムで分光し、波長可変光源として用いた。NA=0.6の反射対物レンズを組み込んだ反射型顕微鏡を作製し、光源と接続した。サンプルはクライオスタッド内にセットし、6Kで測定を行った。pM程度に希釈したhRC溶液をCaF2基板にスピンコートし、2D蛍光画像を測定すると、疎らに分布する輝点が観測された。輝点の蛍光が1ステップで光退色することを確認した。このような1ステップ光退色は単一粒子に特徴的な現象であり、輝点が単一hRC由来であることを示す。単一hRCの励起スペクトルを測定し、670 nm付近にシャープなピークを観測した。励起光強度に対する蛍光飽和特性から、Chl a-A0由来のピークと同定できた。タンパク質内の電子移動に関わる色素の1分子分光はこれまでに例がなく新規の結果である。Chl a-A0 1分子のピーク波長や線形が時間変化することも確認した。さらに高速な過渡変化をモニターするには信号の検出感度を上げる必要があったため、高NA(=0.97)新型対物レンズの使用を考えたが、レンズ視野の問題で安定した測定が難しかった。今後の課題として、改良を加えたレンズを新たに設計・作製する必要がある。低温ほど信号強度が上昇したため、超流動ヘリウム温度(1.5 K)での測定も不可欠である。
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Research Products
(9 results)