2015 Fiscal Year Annual Research Report
構造を規定した酸化物-擬似液体水界面における光触媒メカニズムの解明
Project/Area Number |
26810006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 敏樹 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00630782)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水分解-水素・酸素発生光触媒 / 光誘起電荷ダイナミクス / 赤外拡散反射分光 / 表面吸着水 |
Outline of Annual Research Achievements |
高効率水素・酸素発生触媒として知られる層状ぺロブスカイト光触媒BaLa4Ti4O15を対象として,マイクロ秒~秒オーダーの時間領域の過渡吸収分光を行い,電子・正孔の過渡吸収強度の助触媒・水の有無等の環境依存性を詳細に調べた.その結果,電子による水の還元反応がマイクロ秒オーダーで,正孔による水の酸化反応がミリ秒オーダーで起こり,水の光誘起酸化還元反応が電子・正孔密度の不均衡に起因した電場勾配に誘起されている事が明らかになった[J.Phys.Chem.C118,10972(2014)]. また,室温の真空容器内で水蒸気圧力を精密に制御することにより光触媒ナノ粒子表面のみを水液膜で覆い,その膜厚を1分子層レベルでコントロールする技術を確立した.この研究により,光触媒粒子等の実用物質表面における新しい水分子科学を開拓することができ,第39回熊谷記念真空科学論文賞を受賞した.室温の真空容器内で水蒸気圧力を精密に制御することにより光触媒TiO2ナノ粒子表面のみを水液膜で覆い,液膜を制御して紫外ポンプ-可視プローブ過渡吸収と拡散反射赤外吸収測定を行った.光誘起電子ダイナミクスが水蒸気圧力に大きく依存し,1層目/2層目の水分子吸着層の形成に伴い正孔補足量が増大/減少する事を見出した.たとえ同じ光触媒ナノ粒子であっても界面水の局所構造と水素結合状態に応じて光触媒反応活性が大きく変わることを世界に先駆けて明らかにした[Nano Lett. 16, 1323-1327 (2016)].
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Research Products
(8 results)