2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26810016
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
津留崎 陽大 群馬大学, 研究・産学連携戦略推進機構, 研究員 (40623848)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ケイ素クラスター / ビシクロ[4.1.0]ヘプタシラ-1(6)-エン / シクロヘキサシラン / 還元的縮合反応 / ケイ素 / ケイ素-ケイ素二重結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ポリハロシクロオリゴシランの還元的多量化反応という独自の手法を活用することによって、新たなケイ素クラスターを構築するとともに、それらの構造・性質をNMRやX線結晶構造解析といった分子科学的な構造解析手法を用いて解明することを目的としている。 本年度は、シクロヘキサシランを用いたケイ素クラスターの合成を行った。1,1,2,2-テトラクロロシクロヘキサシランをトルエン中、4当量のナトリウムを用いて還元したところ、テトラシラン架橋ビシクロ[4.1.0]ヘプタシラ-1(6)-エンが12%の収率で橙色結晶として得られた。X線結晶構造解析の結果、シクロトリシレン部位の構造パラメータは、既知のテトラシリルシクロトリシレンと類似していたのに対し、環外のSi-Si=Si結合角は大幅に(約15°)減少していた。また、29Si NMRスペクトルにおいても、既知のテトラシリルシクロトリシレンとは異なり、シクロトリシレン部位の顕著な低磁場シフトが観測された。これらの結果は、クラスター構造を構築したことによる影響である。紫外可視吸収スペクトルでは、468、297 nm に吸収極大を持ち、その吸収は550 nm付近にまで延びていた。最長吸収極大波長は、既知のテトラシリルシクロトリシレンと同程度であった。理論計算の結果、ジシレン部位のπおよびπ*から構成されたHOMOおよびLUMOは、隣接した六員環や五員環のケイ素-ケイ素σ軌道とほとんど相互作用をしていないことがわかった。このため、既知のテトラシリルシクロトリシレンと類似の値であったものと考えられる。
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Research Products
(24 results)