2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Method for Molecular Transformations Based on Photoredox Reaction of Quinones
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26810018
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安藤 吉勇 東京工業大学, 理学院, 助教 (40532742)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナフトキノン / 光化学反応 / 天然物 / 全合成 / CH官能基化 |
Outline of Annual Research Achievements |
キノン類は色素や生物活性天然物として、自然界に広く分布する化合物群である。また、植物や動物の体内においては、光合成や呼吸における電子伝達物質として重要な役割を担っている。これらキノン類の中には光照射下において、特異な反応性を示すものがある。しかし、これまでその光化学的性質が有機合成に積極的に利用されたことはほとんどなかった。本研究では、キノン類の光化学的性質に着目し、それを活用することによって新たな分子変換法を開発した。さらに、開発した方法を用いて高次構造を持つ天然物の全合成へ展開した。 すなわち、1,4-ナフトキノンの光酸化還元反応を開発し、これまで不明であった基質一般性について明らかとした。さらに、その知見から反応機構に関する重要な知見を得た。 本光酸化還元反応を抗腫瘍性天然物スピロキシンCの全合成へと応用した。この過程において光酸化還元反応が立体特異的に進行することを見出し、その初の不斉全合成を達成した。また、光反応前駆体を適切に設計することによって、光を契機とした連続酸化還元反応が進行することを見出し、誘導体であるスピロキシンAの初の全合成も達成した。 開発した光化学反応を1,2-ナフトキノンへと適用した。その結果、1,4-ナフトキノンと同様の形式で酸化還元反応が進行することを見出した。さらに、この反応を抗生物質であるγ-ルブロマイシン類のモデル合成へ応用したところ、光酸化還元反応が進行し、鍵となる5,6-スピロアセタール構造を合成することに成功した。また、本反応も立体特異的に進行することが明らかとなり、天然物の不斉全合成に向けた端緒をつかむことができた。 以上、本研究ではこれまで利用されてこなかったナフトキノンの光酸化還元反応に着目し、天然物の全合成を通してその有用性を明らかとした。開発した分子変換は、他の方法では実現困難であり、合成化学の分野へ新規方法論を提供した。
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Research Products
(6 results)