2015 Fiscal Year Annual Research Report
有機エレクトロニクス材料を志向した新奇キノイド系巨大π共役分子の創製と機能開発
Project/Area Number |
26810024
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石田 真敏 九州大学, 分子システムデバイス国際リーダー教育センター, 助教 (60706951)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポルフィリン / 酸化還元 / ラジカル / テトラチアフルバレン / 金属錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、「非芳香族性」環状π共役ポルフィリン化合物の合成研究を基盤としてπ電子の振る舞いを巧みに利用した分子エレクトロニクス応用に繋がる機能性πマテリアル群の開拓を目指した。平成26年度は、その鍵となる化合物の一つであるテトラチアフルバレン部位を有するポルフィリン類縁体を用いた超分子集積構造体の構築によって、室温溶液中でミリ秒オーダーの長寿命な光誘起電荷分離を達成した。 以上の結果を基に、更に環拡張ポルフィリン類縁体を基本骨格として、テトラチアフルバレン縮環ルビリン誘導体の合成およびその光物性、電気化学特性、光誘起電子移動過程について検討した。内環窒素部位へのプロトン受容能を利用して、更なるLUMOエネルギーの低下ならびに分子内電荷移動特性を精密にチューニングすることに成功した。 また環拡張ポルフィリン骨格固有の錯形成能に着目し、巨大π共役骨格の内部配位環境を設計修飾することで、金属イオンの錯形成を伴って非常に安定な25π非芳香族ラジカル錯体を単離・同定することにも成功した。この熱力学的に大きく安定化された開殻電子構造化合物は、ポルフィリンの環周辺部を修飾したフェナレニル縮環ポルフィリンや、プロトン化された環拡張ポルフィリン類縁体化合物において、開殻ビラジカル共鳴構造を有することが示唆された。 非芳香族性開殻電子構造を鍵とする新奇ポルフィリン類縁化合物の合成およびその酸化還元特性の解明から、分子エレクトロニクス材料への更なる展開が期待される。
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Research Products
(26 results)