2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26810031
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 裕也 東京工業大学, 化学生命科学研究所, 助教 (90700154)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 有機金属分子ワイヤー / 単分子電気伝導度計測 / ルテニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は二次元平面構造を持つ有機金属素子の開発を行った。本年度はそれら二次元平面を繋ぐモチーフとして、高い伝導性を示す一次元有機金属分子ワイヤーの開発を目指した。 有機金属分子ワイヤーは高い酸化還元準位を示すルテニウムテトラホスフィンもしくはホスファイトフラグメントを有するビスアセチリド分子ワイヤーを設計・合成した。なお、分子末端には金電極と接合可能なピリジンを用い、STMブレイクジャンクション(STM-BJ)を用いて単分子の電気伝導度を測定した。その結果、有機金属分子ワイヤーの単分子電気伝導度はルテニウムユニットを持たない有機分子ワイヤーに比べて2~4倍の高い電気伝導度を示した。 一般にピリジン末端を示す分子ワイヤーはLUMOを介した電気伝導が優位であり、電子豊富なルテニウムフラグメントはLUMOのエネルギー準位を押し上げるため、電気伝導は低下すると予想される。より詳細な知見を得るため、DFT―非平衡グリーン関数法を用いた計算を行った。有機ワイヤーでは予想通り、LUMO側に大きな透過ピークが観測された。一方、有機金属分子ワイヤーではLUMO側の透過ピーク強度が減少し、HOMO側にブロードなピークが出現した。この結果はルテニウムフラグメントがHOMOを押し上げ電気伝導性が向上したことを示しており、従来とは異なる新しい高電気伝導分子ワイヤーの設計指針が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はπ共役平面を有する分子素子を架橋する一次元分子ワイヤーの開発を行った。有機金属錯体を用いることで高い一次元電子伝達能が明らかとなり、目的の高い電子伝達能を示す三次元構造体へ向けて順調に研究が進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度で進めてきた二次元平面構造分子素子について電子伝達能評価を行い、今年度達成した一次元ワイヤーと組み合わせることで自在に積層可能な三次元分子伝導素子の開発を目指す。
|