2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26810033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 洋治 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20584840)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 触媒化学 / 新物質 / 酸水素化物 / 窒素活性化 / 水素化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
[研究目的] アンモニア合成、CO水素化、CO2水素化反応などの不均一触媒では、酸化物の触媒担体は表面積の提供や間接的な電子的効果の発現など、脇役的な存在であった。 申請者は数年前に、Ti系の酸水素化物 (H-を有する酸化物)を開発した。Ti系酸水素化物は400-500CでH2, NH3などの解離・分解が可能である。この独自の反応性を活かして、本研究では、水素・窒素などのガス種と直接反応し、従来の酸化物担体とは桁違いスピルオーバー効果を有する触媒を提案する。最終的には、担持金属がゼロであり、酸水素化物が直接反応に寄与するアンモニア合成、CO水素化、CO2水素化反応を目標に新しい触媒系を構築する。
[研究成果] 当初の実験計画では、初年度でN2分子活性化・アンモニア合成・アンモニア分解などの反応を行い、次年度にCO、CO2の水素化反応の活性を行い、速度論的考察を行う予定であった。しかし、研究の設備上の理由から、 初年度はN2分子活性化、CO2水素化に対して重点的に研究を進め、一定の成果が得られた。 N2分子活性化に関しては、酸水素化物がN2雰囲気下でも窒化できることが確認でき、N2結合の乖離能を間接的に証明できた。CO2のメタン化反応では、Ni/BaTiO3, Ni/BaTiO3-xHx触媒を比較した結果、BaTiO3-xHx担体触媒の活性がより高かったものの、生成した水により酸水素化物が酸化してしまい、活性が持続しない課題がはっきりした。次年度では他の水素化反応を探索する必要が判明した。 アンモニア合成に関して もTi系酸水素化物の高い活性が確認でき、その理由を探るべく、触媒としてのTi系酸水素化物の基本的性質(固体塩基性・H/N拡散速度・H/N交換能)などの定量評価を新たに試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CO2水素化、N2分子活性化に関して、およその状況が判明した。アンモニア分解は設備がまだ整っていないが、アンモニア合成反応に関する研究も順調である。他の反応の開拓、および酸水素化物の基本的触媒性質の評価も始まっており、当初の計画から少しのずれはあるものの、概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
-O2, H2Oを含まない触媒反応を探索する。 -アンモニア分解反応を試みる。 -酸水素化物担体のより基礎的な触媒評価を定量的に行う(塩基性・アニオン交換能など)。 -金属無担持触媒の反応を試みる。
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