2015 Fiscal Year Research-status Report
ビオロゲン型イオン液体の融点や酸化還元応答に対する対アニオン依存性の効果の解明
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26810052
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田原 弘宣 長崎大学, 工学研究科, 助教 (80631407)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ビオロゲン / イオン液体 / ビス(トリフルオロアルカンスルホニル)イミド / 結晶構造 / 融点 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、低融点を示すビオロゲン類の構造と融点の関係について調べた。カチオンであるビオロゲン骨格として、ジメチルビオロゲン、ジブチルビオロゲン、ジヘプチルビオロゲンを用いた。アニオンであるビス(フルオロアルカンスルホニル)イミドのフルオロアルキル基についてフルオロ基(n=0、以下カッコ内はフルオロアルキル基の炭素数)、フルオロメチル基(n=1)、フルオロエチル基(n=2)、フルオロプロピル基(n=3)、フルオロブチル基(n=4)と系統的に変化させた。 ジブチルビオロゲンとジヘプチルビオロゲンについては、アニオンがn=2のときに融点の極小を持つ融点のアニオンの炭素鎖長依存性が見出された。これは、アニオンのサイズが増大し、立体障害によるビオロゲンジカチオン部位との静電引力が弱まったためであると解釈できる。一方で、ジメチルビオロゲンは上記2つのビオロゲンとは異なるアニオン鎖長依存性を示した。n=1でわずかな融点の極小が見られたのち、n=2,3,4と単調に融点が減少した。このことに対しては明確な原因は不明であるが、仮説として、アニオンがカチオンであるジメチルビオロゲンに匹敵するサイズであることで、融点のアニオンの鎖長依存性が他のジアルキルビオロゲンと異なっているものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、アルキルビオロゲンの側差アルキル基の長さを変え、融点や結晶構造のついアニオン依存性を明らかにするというものであった。融点は予定の化合物全てを測定し終えることが出来たが、良質の単結晶を得ることが出来ていないため、構造解析にはいたっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は引き続き構造解析を行っていく。また、振動分光なども通して、構造情報を得て、ビオロゲンの融点と構造の関係を明らかにしていく。また、電気化学物性(酸化還元反応やイオン伝導性)についても調査していく。
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Causes of Carryover |
本年度は主に合成のための試薬の購入と成果発表旅費に充てた。合成や測定に必要なガラス器具を一部自作することで、器具購入費を節約することが出来た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は、本年度と同じように成果発表旅費、器具類や試薬類の購入に当てる予定である。
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