2014 Fiscal Year Research-status Report
カチオン性複素環を電子伝達に利用する新規合成手法の開発
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26810063
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
西川 泰弘 名城大学, 薬学部, 助教 (20633580)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機触媒 / キラルブレンステッド酸 / Diels-Alder反応 / 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロトンの配位により生じるカチオン性有機分子の電子吸引性を利用するという発想に基づいてキラルピリジニウムリン酸アミドをデザインし、これが二座配位型キラルブレンステッド酸触媒として機能するか検討を行い、以下の結果を得た。1)ピリジニウムリン酸アミド構造を有する立体構造の異なる様々な触媒を合成し、反応性および立体選択性を調査した結果、1-アミドジエンとマレイミド類とのDiels-Alder反応において中程度ながらエナンチオ選択性をもって目的の環化付加体を与えることがわかった。 2)さらなる立体選択性の向上に向けて、触媒構造におけるピリジン環上置換基効果について検討したところ、上記反応において90%eeを超える高い立体選択性を発現する触媒構造を見出すことに成功した。 3)基質一般性の検討も行い、様々な置換基を有するジエンを用いても高い立体選択性をもって反応が進行することがわかった。中でも1、4位置換アミドジエンを用いることにより、一挙に4連続不斉中心を高エナンチオ、ジアステレオ選択的に構築することに成功した。 4)マレイミド類の基質一般性も併せて調査したところ、マレイミドの窒素上置換基の有無に関わらず、良好に反応が進行した。N-無置換マレイミドを用いた反応生成物は窒素上の置換基を自由に導入できるため、反応後のより柔軟な変換が可能である。 5)本反応における触媒の活性発現機構の調査を行った。既存のリン酸型触媒やプロトン化されていないピリジルリン酸型触媒では反応の進行が遅く、立体選択性も見られなかったことから、二座配位型構造が重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度の研究実施計画に記した事項についてはほぼ達成できた。27年度に予定していたDiels-Alder反応以外の反応への展開を調査している。
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Strategy for Future Research Activity |
二座配位型キラルブレンステッド酸触媒を見出すことができたので、これを用いた反応開発を目指す。具体的にはイミドだけでなく、キラルリン酸触媒では活性化が困難なケトンやアルデヒドを活性化対象とした反応探索を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度は触媒開発において多種少量の触媒合成を行い、また反応探索においても小スケールでの反応を行って試薬類への出費を抑えたため、支出が抑制された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は前年度の結果を受け、研究の効率化のため、多量の触媒合成が必要となる。また、反応再現性を得るために、より大スケールでの反応を行う必要があることや、多様な反応の探索を行うために試薬および実験用消耗品への前年度以上の研究費の使用が見込まれる。結果、2年単位での研究費としては使用計画に大きな変更はない。
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