2015 Fiscal Year Annual Research Report
カチオン性複素環を電子伝達に利用する新規合成手法の開発
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26810063
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
西川 泰弘 名城大学, 薬学部, 助教 (20633580)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機触媒 / キラルブレンステッド酸 / Diets-Alder反応 / 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はプロトンの配位により生じるカチオン性有機分子の電子吸引性を利用するという発想に基づいてキラルピリジニウムリン酸アミドをデザインし、これが二座配位型キラルブレンステッド酸触媒として1-アミドジエンとマレイミド類との不斉Diels-Alder反応を高立体選択的に進行させることを見出した。平成27年度は上記成果をさらに進めるために研究を行い、以下の結果を得た。 1)不斉Diels-Alder反応において、マレイミド類以外の基質一般性を調査した。ジエノフィルとしてベンゾキノン類を本触媒系に適用したところ、98% eeという非常に高いエナンチオ選択性にて目的の光学活性テトラヒドロナフタレン骨格を得ることに成功した。 2)本触媒系で得られた環化付加体をMosher amideへと変換したのちに、新Mosher法を適用することで、未解明であった絶対立体配置を決定することができた。これにより、本触媒系の立体選択性を解明するための重要な知見を得ることができた。 3)ピリジニウムリン酸アミド構造を確認するために、ラセミ体を調製し、そのX線結晶構造解析を行った。その結果、触媒活性を担うと予想される二つのN-H結合はほぼ同一平面上平行に存在していることがわかり、カルボニル基に二点配位するという当初の推察を支持する結果を確認することができた。 4) ピリジニウムリン酸アミド触媒による第2級アルコールの光学分割法の開発に着手した。これまでに本触媒による第2級ベンジルアルコール類のアシル化において反応促進を観測したものの、顕著な光学分割現象について確認するまでには至っていない。今後はより詳細な触媒や反応基質のスクリーニングを行っていく予定である。
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