2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26810072
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
西藪 隆平 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (00432865)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超分子 / 分子集合体 / 自己組織化 / 光ピンセット / 集光レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,溶液に集光レーザーを照射したときに,その焦点において光と物質との相互作用にもとづいて溶質分子が集合することを実証し,遠隔操作で溶液中の任意の位置に分子集合体を出現させることのできるボトムアップアプローチにもとづく新しい材料製造法を提案した。 実験に用いるレーザーとして波長1056 nmのネオジム・ヤグレーザーの使用が想定されたので,溶質分子として,当該レーザー波長に吸収を持たない水を溶媒として利用できる水溶性の分子が必要となり,前年度に合成された有機溶媒中で分子集合体を形成できるアントラセンビスイミド誘導体の分子設計を参考に,その類縁化合物であるペリレンビスイミド骨格に親水性置換基を導入した両親媒性化合物の合成をおこなった。 ネオジム・ヤグレーザーを搭載した光ピンセット装置を用いて,当該ペリレン化合物の水溶液に集光レーザーを照射したところ,レーザーの焦点で分子集合体と予想されるマイクロメートルサイズの粒子の形成が観察され,集光レーザーによる分子集合の誘起が示唆された。 そこで,集光レーザーによる分子集合の誘起について確証を得るため,凝集することで蛍光を発する性質をもつシアノスチルベン骨格に親水性置換基を導入した両親媒性化合物を新規に合成し,その水溶液に集光レーザーを照射したときの挙動を蛍光顕微鏡で観察した。その結果,集光レーザーの焦点でシアノスチルベンの蛍光が検出され,当該分子がレーザーの焦点で集合することが示された。 以上の実験結果から集光レーザーが溶液中の分子集合を誘起することが実証され,当該手法が遠隔操作すなわち溶液中の任意の時空間で分子集合体を製造できる手法となりうることが示された。
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