2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞内元素量情報に基づく血中循環腫瘍細胞(CTC)検出システムの開発
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26810082
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
宮下 振一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物質計測標準研究部門, 主任研究員 (60614766)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マイクロ流路分析 / がん診断 / 血球 / 循環腫瘍細胞 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞内元素量情報に基づく新たな血中循環腫瘍細胞(CTC)検出システムの開発を目標とし、①マイクロ流体デバイスを用いたハイスループットな細胞分離技術の構築、②一細胞質量分析技術による各種細胞中元素マーカーの高感度分布計測法の確立、③上記①、②で得られた技術・手法を融合した血中CTC検出システムの実証試験に取り組むものである。本年度は、①細胞分離用マイクロ流体デバイスの作製と、②元素マーカーの高感度分布計測法の確立に取り組んだ。 ①昨年度試作した密度差に基づく微粒子分離用マイクロ流体デバイスについて予備検討を行ったが、十分な性能が見込めなかったため、密度差とは異なる原理(遠心分離等)による細胞分離手法について文献を調査した。その結果、血球細胞の分離に最適なデバイス形状が把握できた。 ②所属研究グループが開発を進めてきた、プラズマイオン源への細胞直接導入による一細胞質量分析技術については、平均細胞直径2.0 μm~3.0 μmの細胞については導入効率約100 %を実証済みであるが、高効率導入が可能な細胞のサイズ下限域を拡張するため、ナノ粒子を用いた導入効率評価を行った。その結果、粒子導入効率約100 %を実証した。このことから、3.0 μm以下の広範囲のサイズの細胞については約100 %の効率で導入可能であることが明らかとなった。また、分析に供する血液試料の調製方法について文献を調査し、最適な方法を把握した。なお、既存の細胞直接導入インターフェースの改良については未着手となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は2011年に5年間の任期付研究員として所属研究機関に雇用され、今年度はその5年目に該当した。昨年度末にパーマネント化審査自体は終了したものの、今年度は昨年度までの積み残し作業(成果の論文化やプレス発表等)に時間を割かざるを得なかったため、現状、本研究の進行がやや遅れている。ただし、最終年度である次年度は、他の業務や積み残し作業を差し置いてでも本研究の推進に重点的に時間を割く予定のため、当初の計画に沿った研究の進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
①マイクロ流体デバイスを用いたハイスループットな細胞分離技術の構築については、文献調査から得られた最適形状のデバイスを試作し、血球細胞を模倣した微粒子を用いた性能評価を行った上で、実際の血液試料を用いた血球細胞の分離に応用する。 ②一細胞質量分析技術による各種細胞中元素マーカーの高感度分布計測法の確立については、実際の血液試料や分離・精製後の血球細胞の分析を通じて、元素マーカーの分布計測条件の最適化に取り組む。また、既存の細胞直接導入インターフェースについては、必要に応じてスプレーチャンバー(気化室)形状の最適化に取り組む。 ③上記①、②で得られた技術・手法を融合した血中CTC検出システムの実証試験に取り組む。
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Causes of Carryover |
現在までの達成度がやや遅れているのと同一の理由による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度が最終年度であり、時間も限られているため、マイクロ流体デバイスの作製は主に外注することとし、設計図作成用のAutoCADソフトの購入は取りやめる。そのため、残額は主にデバイス作製の外注費、ならびに国内外学会での成果発表のための旅費及び学会参加費に使用する。
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Research Products
(3 results)