2015 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復酵素による傷害部位の効率的な認識機構の解明
Project/Area Number |
26810084
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
矢澤 健二郎 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (70726596)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 全反射蛍光顕微鏡 / DNAハイブリダイゼーション / 一分子観察 / 水晶発振子マイクロバランス / アンサンブル |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAのハイブリダイゼーションは生命の根本の反応であり、先行研究でその平均の挙動は観察されてきたものの、一分子毎の反応に関する知見は少なかった。本研究では、DNA(8 mer, 12 mer, polyA-polyT 12mer)のハイブリダイゼーション過程を全反射蛍光顕微鏡で観察した。その結果、8merDNAのハイブリダイゼーションについては1段階の挙動を示したが、12merおよびpolyA-polyT 12merに関しては多段階の挙動を示した。観察時のレーザー照射のタイムラプス間隔を種々に変えて、動力学観察を行った。その結果、DNA毎に解離速度定数を求めると10倍程度異なる解離速度定数が含まれていることが分かった。12merのハイブリダイゼーション過程については、末端がほぐれた形で相互作用を起こしていることが分かった。polyA-polyT 12merに関しては完全に相補鎖を形成しているものは10%程度で90%程度は掛け違い現象を起こしていることが明らかとなった。水晶発振子マイクロバランス法を用いて同様のハイブリダイゼーション反応を行い、平均の挙動としての比較対象としたところ、PolyA-PolyTの反応については全反射蛍光顕微鏡で求めた値と異なることが分かった。これは基板への固定化密度が水晶発振子マイクロバランス法では多いために、DNAが深く入り込むことが困難であったことに由来すると考えられる。本研究で得られたDNAのハイブリダイゼーションの一分子観察結果は、DNA修復時における効率的な修復箇所の探索に役立つのみならず、DNAからRNAを経たタンパク質の合成というセントラルドグマの反応を理解する上で、重要な知見と考えられる。
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