2014 Fiscal Year Research-status Report
アルコールに可溶な前躯体を利用した有機半導体材料の開発とセンサーへの展開研究
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26810107
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡邊 源規 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 助教 (60700276)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機材料化学 / 有機電界効果トランジスタ / センサー / 構造有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究期間では目的のうち、有機合成手法を基盤に新奇前躯体に求める材料の分子設計として①高電荷移動度を有する構造の模索;②材料を用いた電荷移動度の測定手法確立;③センサーへのデバイス展開について、①と②について重点的に研究を行った。 ①高電荷移動度を有する構造の探索として、結晶・薄膜状態で高い電荷移動度を示すことが知られているインディゴの構造を修飾し、その電荷移動パスを増幅させることを試みた。結果、置換基を検討した結果、ある一定の長さを有するアルキル鎖を導入すると、溶液から直接結晶を取り出せることを見出した。単結晶X線構造解析により、インディゴ分子が垂直方向に積層した構造をとっていることがわかった。理論計算よりインディゴ分子の電荷の重なり面積を求めた結果、置換基を有さないインディゴ分子より2倍程度の電荷移動効率を有することが期待された。 ②上記①で得られたインディゴ分子は溶液塗布法による単結晶トランジスタの作製と、トランジスタを用いた電荷移動度測定が可能であると考えている。一方で、未置換のインディゴ分子は気相移動法により結晶を作製することが可能で、この手法で結晶が作製することも見出しており、同様にトランジスタによる測定により電荷移動度の評価が可能と考えている。また、類似のn型色素を用い、チタニア等の無機半導体上に色素を物理あるいは化学的に吸着させた薄膜を用いて、過渡吸収法により、有機物化学種の寿命測定が可能であった。 ③については、合成されたインディゴ分子を還元処理によりレウコインディゴの変換を試みた。結果、期待通りレウコインディゴへ変換でき、酸化剤を用いてインディゴ分子へ変換可能であることが見出された。今後は本手法を薄膜へ展開し、酸素センサーへの展開を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究期間では目的のうち、有機合成手法を基盤に新奇前躯体に求める材料の分子設計として①高電荷移動度を有する構造の模索;②材料を用いた電荷移動度の測定手法確立;③センサーへのデバイス展開について、①と②について重点的に研究を行い、これらに関連した論文を3件、学会発表を国際学会で招待講演を含め5件、他2件発表を行った。最終目標である③の測定系の作製を行っている。現在、デバイスを測定するための測定装置を作成中であり、本装置が導入され次第③の研究が加速されると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
目的の化合物は合成が完了しており、これら化合物について単結晶有機トランジスタあるいは過渡吸収により、電荷移動度や化学種の電荷移動寿命を決定する。最終的に、化合物を用いた酸素センサーへの展開を行う予定である。現在、デバイスを測定するための測定装置を作成中であり、本装置が導入され次第酸素センサーへの展開に着手する。
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Causes of Carryover |
前年度で作製予定であった測定装置の作製予定が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
測定装置の作製のためのガス、ガス配管、ガラス等の物品費に使用する予定。
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