2014 Fiscal Year Research-status Report
ナフトジチオフェンジイミド (NDTI) を基盤とする有機半導体分子の開発
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26810109
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中野 正浩 独立行政法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 訪問研究員 (80724822)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 有機トランジスタ / 有機薄膜太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は、新規な有機半導体分子であるナフトジチオフェンジイミド(NDTI)を用い、“強い電子受容性“を持つ材料が必要な有機半導体デバイス(トランジスタ、薄膜太陽電池など)を作製し、高性能な有機半導体デバイスを創成することである。具体的には、n型有機薄膜トランジスタ、単一材料によるCMOS論理回路、フラーレンフリーな有機薄膜太陽電池の作製を目指すものである。 平成26年度においては、NDTIをベースとした材料を用いて上記全てのデバイスを作製し、それらが問題なく駆動することを確認した。 n型トランジスタとしては、塩素を置換基として導入したものが、分子配向の大幅な改善により、電子移動度0.8cm2/Vs程度の高い特性を示すことを見出した。加えて、ナフトビスチアジアゾールとの共重合体が良好な特性(電子移動度:0.2cm2/Vs)を示すことを確認した。 また、CMOS論理回路については、両極性を示すNDTIポリマーを用いたデバイスが、大気下で安定に動作し、かつ優れたインバータ特性(GAIN ~170 )を示すことを確認した。さらに、このCMOS論理回路において、基板を一部アミン誘導体で処理することで、両極性材料で構成されたデバイスの一部単極性化し、消費電力を大幅に低減可能であることを見出した。この現象はこれまで両極性材料を用いたCMOS論理回路の抱える致命的な問題であった”膨大な消費電力が必要”な点を克服しうるものである。 さらに、有機薄膜太陽電池においてはNDTIポリマーをn型として用いたデバイスが光電変換特性を示し、特に市販のPTB7をp型材料をして用いたものが効率2.6%と良好な結果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
NDTIを用いた材料は、当初目的とした有機デバイスに対し非常に有効であったことが確認できたことに加え、基板処理法により、両極性材料を用いたCMOS論理回路の問題点を克服しうる手法を見出せたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られた、NDTI誘導体のデバイス特性に関する知見を活かし、さらなるNDTI誘導体の開発とデバイス作製条件の検討によって高性能デバイスを実現するための検討を行う。 薄膜トランジスタに関しては、”強い分子間相互作用を誘発する小さな置換基を導入する”という移動度向上のための分子設計指針を明らかとできたため、この知見を用いて、移動度3cm2/Vsを超える材料の開発を目指す。また、CMOS論理回路に関しては、高いGAIN値(100以上)と低消費電力を両立できる材料の開発を行う。さらに、有機薄膜太陽電池については用いるp型材料のさらなる検討に加え、解放電圧の向上を指向した誘導体を合成し、光電変換効率の向上を狙う。
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Research Products
(8 results)