2014 Fiscal Year Research-status Report
ナノ炭素材料を用いたメタンからメタノールへの空気酸化触媒の創製
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26810119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神谷 和秀 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50716016)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 空気酸化 / 酸素還元 / メタン / メタノール / 部分酸化 / 炭化ケイ素 / ナノ炭素材料 / 電極触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
シトクロムP450では、酸素分子は活性中心のヘム鉄からの π逆供与により活性化され、生成したFe(IV)=Oが酸化活性種として基質を酸化する。一方、当研究室では、鉄‐窒素配位構造が導入されたグラフェン(Fe/Nグラフェン)が酸素還元電極触媒として機能し、このときπ逆供与による酸素分子の活性化が起こっていることを明らかにしてきた。このようなFe/Nグラフェン電極触媒とシトクロムP450酵素における酸素分子の活性化過程の類似性を鑑みると、「酸素還元活性の高い材料は高い空気酸化活性を示す」という仮説を立てることができる。この仮説に基づき、本研究では酸素還元触媒能を指針として高活性な空気酸化触媒を創成することを目的とした。具体的には鉄‐窒素配位構造を熱耐久性の高い炭化ケイ素(SiC)中に導入し、メタンを基質に用いて空気酸化反応活性を測定した。 作製した触媒においてはX線吸収微細構造およびX線光電子分光により、期待した通り、Fe-N配位構造が維持されたままSiC骨格中に導入されていることが確認された(Fe/N-SiC)。続いて酸素還元電極触媒活性を測定したところ、Fe/N-SiCは窒素を加えていないFe-SiCより100 mVほど正電位側である400 mV (vs. RHE)付近から酸素還元電流が立ち上がっており、FeとNの共担持により酸素還元活性が向上することが確認された。 この両材料の空気酸化触媒能を、13Cで標識されたメタンを基質として用いて評価した。その結果、Fe-SiCでは二酸化炭素の発生がほとんど見られないのに対して、Fe/N-SiCでは400 ℃付近から二酸化炭素が発生しており、N導入による空気酸化活性の向上が確認された。同位体メタンを用いて実験を行っていることから、この二酸化炭素の増加はSiCの分解ではなくメタンの酸化反応に帰属されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安定性の高い炭化ケイ素中への鉄-窒素構造の導入にすることで、メタンの空気酸化が進行することを同位体によって確認した。かつその構造をX線吸収微細構造により明らかにしており、当初の研究計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、メタンのメタノールへの部分酸化の達成を目指す。具体的には (1)活性点密度の最適化によって、生成したメタノールの過酸化を抑制 (2)脱離したメタノールの吸着サイトを導入することでメタノールを安定化 といった手法を試みる。
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Causes of Carryover |
サンプル作製に遅れが出たことにより、予定していた試薬の購入を延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
サンプル作製に関する問題は解決しているので、試薬購入代金として使用予定。
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Research Products
(8 results)