2014 Fiscal Year Research-status Report
配位高分子の規則的ナノ空間を利用したミクロ細孔性無機酸化物の創製
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26810120
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
近藤 篤 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60533619)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細孔体 / 配位高分子 / 無機酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、微細で規則的なナノ空間を有する配位高分子を鋳型として、原子もしくは分子レベルで制御された規則的なミクロ細孔を持つ無機個体を合成することを目的として行っている。本年は銅配位高分子を鋳型として酸化チタンなどの細孔性固体の合成を試みた。酸化チタン合成にはチタン源としてチタンアルコキシドを用い、加熱真空処理した配位高分子の細孔内にチタン前駆体を導入した後、水熱処理を行うことで前駆体の重合を試みた。更に、得られたチタン前駆体/配位高分子複合体から鋳型である配位高分子の除去を試みた。比較的温和な条件での除去が可能な条件を検討し、酸エッチングにより除去した。得られた酸化チタンはX線回折測定や熱重量測定、SEM測定など各種機器を用いて評価した。SEM観察より、水熱処理後のチタン前駆体/配位高分子複合体においても鋳型である配位高分子の結晶形状は概ね保持しており、XRDからは結晶構造も保持されていることがわかった。配位高分子除去後のサンプルは有機成分がごくわずか残存しているものの、基本的には酸化チタンであることがわかっている。細孔性はガス吸着等温線測定により評価した。得られた酸化チタンはミクロ細孔を有し、鋳型として用いた配位高分子の細孔壁の厚さに対応した細孔サイズを示した。また、規則的な原子配列を示す結晶となっていることがXRDより確認された。チタン前駆体の導入操作を繰り返すことにより、細孔の分布に変化を与えることも見出している。本手法の有効性を評価するために、酸化チタンのみならずシリカや酸化ニオブの合成にも取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった配位高分子を鋳型とする酸化チタンの合成に成功しており、ナノ空間での結晶化及び鋳型除去も実現しているため、順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討結果より、あるチタン前駆体をもとにした細孔内への導入、水熱処理、および鋳型除去により細孔性材料が得られることがわかったため、本手法の有効性を示すためにシリカやニオビアにおいても鋳型の特徴を反映した無機酸化物の合成を達成する。
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Causes of Carryover |
必要物品購入には不足であり、翌年度の研究費とあわせて使用することで効率的な使用が可能であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は前年度に引き続き材料合成を行うため、試薬類の購入に当てる。
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Research Products
(1 results)