2014 Fiscal Year Research-status Report
デュアルキャリアの電気化学的吸蔵・放出に関する研究
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26810131
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
土井 貴之 同志社大学, 理工学部, 准教授 (30404007)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 二次電池 / リチウム / マグネシウム / 合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
リチウム金属やマグネシウム金属を負極活物質として利用できれば、二次電池のエネルギー密度は飛躍的に向上するが、前者は充電時のデンドライト生成、後者は不動態化しやすいことが大きな問題である。本研究は、これらの課題をリチウムとマグネシウムのお互いの利点で補完し合うことにより解決するため、これら両方のイオンを可逆的に析出・溶解可能な電極反応系を見出すことを目的とする。平成26年度は、リチウムおよびマグネシウムの塩化物を含むエーテル電解液を用いて電気化学的な析出・溶解反応を調べた結果、析出反応はマグネシウム参照極に対して約-0.5 Vおよび-0.9 Vの二段階で進行し、リチウム塩を含まない場合の析出電位とは異なることから、リチウム-マグネシウム合金が析出したことがわかった。また、電解液中のリチウム/マグネシウム比が合金の析出・溶解挙動に与える影響を調べた結果、組成比を変えても析出電位は変化しないが、溶解電位が卑な方向にシフトして析出・溶解反応がより可逆的に進行する組成比が存在することを見出した。より実用的な電解質であるイミド塩を用いてエーテル電解液中でリチウムやマグネシウムの析出・溶解挙動を調べた結果、溶解反応がマグネシウム参照極に対して0.3 Vおよび1.5 Vの高い電位で進行し、反応が非常に遅いことがわかった。そこで、溶媒を炭酸エステルに変更して検討した結果、析出・溶解反応がそれぞれ二段階で進行する組成の電解液が存在することを見出し、リチウムとマグネシウムの析出・溶解が可能であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リチウムとマグネシウムの両者を析出・溶解可能な電解液を見出せたことはデュアルキャリアを用いる二次電池の構築に向けて有用な成果であると捉えている。電池構築のためには、析出物の組成と析出・溶解電位との相関の解明および正極の検討を行う必要があり、達成度としては50%程度と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
析出物の定量とキャラクタリゼーションを行って析出・溶解電位との相関を明らかにするとともに、析出・溶解反応の可逆性向上を目指して他の電解質も検討することにより、到達可能な電池のエネルギー密度を明らかにしていく。また、正極反応を検討し、最終的に充放電試験を行ってデュアルキャリアを用いる電池の実現可能性を実証する。
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