2015 Fiscal Year Annual Research Report
局所不安定性解析を用いた欠陥を有する多層カーボンナノチューブの座屈特性評価
Project/Area Number |
26820006
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西村 正臣 信州大学, 学術研究院工学系, 講師 (40554580)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子動力学法 / カーボンナノチューブ / 格子欠陥 / 局所格子不安定性 / 弾性剛性係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,欠陥構造がカーボンナノチューブ(CNT)の座屈特性に与える影響について検討するために,分子動力学法を用いて欠陥を有する多層CNTの圧縮および曲げ変形シミュレーションを実施する.さらに,原子レベルでの変形抵抗を議論する局所不安定性解析により,欠陥付近で生じる局部座屈について評価することで,欠陥を有する多層CNTの座屈メカニズムを原子レベルから明らかにする.
H27年度は,前年度に圧縮挙動を検討した種々の欠陥を有する多層CNTモデルを対象として,曲げ変形を実施し,局所不安定性解析を適用することで,曲げ変形下における座屈特性について検討し,以下の結果を得た. 曲げ変形を与えることによって,曲げ応力が圧縮応力となる側において,波状の局部座屈が生じた後で,全体が折れ曲がるような座屈変形が生じた.一方で,圧縮応力となる側に空孔欠陥を含んだ場合は,波状の局部座屈の発生傾向に変化が見られたものの,それ以外の位置の欠陥は座屈挙動に大きな影響を与えないことが示唆された.続いて,軸方向圧縮における検討と同様に,曲げ変形時における原子弾性剛性係数Bマトリクスの第2最小固有値を評価したところ,波状の局部座屈が生じるのに対応して,負となっていることがわかり,全体の折れ曲がりが生じる部分では,内部の層においても第2最小固有値が負となる原子が観察された. 以上により,H26年度に実施した軸方向圧縮とH27年度に実施した曲げ変形のいずれの変形においても,原子弾性剛性係数Bマトリクスの第2最小固有値の正値性の変化と局部座屈の発生とが対応することが明らかになった.
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